小型車の領域で進む高級志向の延長線上にあるのが、SUVやクロスオーバー車へのあこがれだ。今回のAuto Expo では、SUVやクロスオーバー車の発表が目立った。

 インドは大家族制である。1家族当たりの構成人数は、日本では2.4人程度だが、インドでは5.2人もいる。そのため、これまで小型車で我慢してきたインド人の中で、経済的な余裕が出てきた人が、より大きなクルマを望んでいる。実際、インドでは多人数が乗れる多目的車(MPV)の販売が伸びてきている。具体的には、2011~2013年にかけて乗用車の伸びが7.5%だったのに対し、MPVの伸びは14%と2倍近かった。この事実も、インドの社会がやっとクルマ(超低価格車)を買えた時代から、購入するクルマを少し余裕を持って選べる段階に移行しつつあることを示している。

 足下では経済の失速感が懸念されるインド市場だが、自動車メーカーは次の一手、すなわち、近い将来の顧客層である若者をターゲットにしたクルマづくりに力を入れている。それが、今回のAuto Expoで出展が増えた SUVやクロスオーバー車だ。現状では、まだSUVやクロスオーバー車はインドの主流となるまでには成長していない。だが、悪路が多いインドの道路事情に合った高い走行性能という実用性に加えて、スポーティーな雰囲気を与えるクルマとして人気が高まる可能性がある。

 今回のAuto Expoの会場では、トヨタ自動車の「Etios Cross」(図11)、フランスRenault社のコンセプト車「Kwid」(図12)、ドイツVolkswagen社の「Taigun」(図13)、チェコSkoda社の 「Yeti」(図14)、ホンダの「Mobilio」(図15)などが来場者の関心を集めていた。

図11◎トヨタ自動車の「Etios Cross」
図11◎トヨタ自動車の「Etios Cross」
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図12◎Renault社のコンセプト車「Kwid」
図12◎Renault社のコンセプト車「Kwid」
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図13◎Volkswagen社の「Taigun」
図13◎Volkswagen社の「Taigun」
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図14◎Skoda社の 「Yeti」
図14◎Skoda社の 「Yeti」
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図15◎ホンダの「Mobilio」
図15◎ホンダの「Mobilio」
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