NTTは、スマートフォンと組み合わせて使う小型・軽量の血流センサーを開発した。身体に装着し、循環器系の働きやメンタル状態を把握できるセンサーだ。健康増進や医療サポート、エンタテインメントなどの分野で、2014年度中にも事業化したい考えである。同センサーの開発者に設計の工夫や事業化への展開などについて聞いた。

血流量は生体情報の宝庫

 血流量(血液の量と流速の積)は、循環器系の働きやメンタル状態に深く関わることが知られている。例えば、血行が悪いと、こりやしびれ、冷えが起こりやすい。血流量を常時モニタリングすれば、食事や睡眠、入浴が血行にどのように影響するかを測れる。また、糖尿病や動脈硬化などの疾患の予兆をとらえたり、心電図と組み合わせてストレス状態を高精度に測れたりする可能性もあるという。

 血流量の測定には従来、レーザードップラー法と呼ぶ手法を用いた、据え置き型の計測器を用いることが多かった。近赤外領域のレーザー光を皮膚に照射し、散乱光をフォトダイオードで受光して周波数スペクトルを解析する。血流からの散乱光は、ドップラー効果によって周波数が変化することから、血液の量と流速に応じた情報を得ることができる。

計測の様子
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