目下、経済の失速感が伝えられ、2013年はクルマの販売が11年ぶりに減少したインドだが、今後は再び自動車産業の成長が加速していくと期待されている。12億人を超える大国の中には今、クルマを十分購入できる中間層が数多く存在するからだ。インドは2020年に世界第3位の自動車生産国となることを目指して成長を続けている。インド人が自動車に何を求め、何を価値と見なし、各自動車メーカーがどのように動いているのか。それを明らかにすべく、元自動車会社の技術者であり、その後はインドの自動車産業を長年研究し続けている東京大学特任研究員の伊藤洋氏が、2014年2月に開催されたインドモーターショー「12th Auto Expo --The Motor show 2014」からインドの自動車産業の変化や動向の分析を解説します。

伊藤 洋(いとう・ひろし)
東京大学ものづくり経営研究センター特任研究員、米沢市産業アドバイザー、元ホンダエンジニアリング取締役
1965年、山形大学工学部精密工学部卒業後、本田技研工業に入社。プレス技術、車体生産技術開発に従事。1974年から、同社から生産技術部門として独立したホンダエンジニアリングへ異動。その間CVCCエンジン、イギリスRover社への生産技術業務を行う。1986年に取締役、車体研究開発、品質管理を担当。対外的には自動車工業会委員、自動車技術会委員を務める。2001年に退職後、インド、パキスタン、タイへ技術支援活動を展開。2004年から東京大学大学院経済学研究科特任研究員を務める。著書に、「ものづくり経営学」(光文社)(共著)、「When Rover met Honda (共著)」(CSY Publishing)、「インドの自動車産業」(東洋経済、エコノミスト) 、「インド成長ビジネス地図 第5章」(日本経済新聞社)がある。また、「日経ものづくり」(日経BP社)2012年1~4月号で「インドを知る タタ流ものづくり」を連載。