リモート監視は費用対効果で「接続箱ごと」

――メンテナンス体制の重要なポイントにリモート監視がある。発電量をリモート監視する手法として、PCSごとでは不十分で、ストリング(直流接続したパネル群)ごとの監視の必要性を説く専門家が多い。

シャープの小西貴雄・EPC事業企画部長
(撮影:直江 竜也)

小西 現在、国内のメンテナンス契約しているメガソーラーでは、接続箱ごとにリモート監視し、奈良県葛城にあるメンテナンスセンターで発電データを蓄積・管理分析している。接続箱とは、複数のストリングからの配線を束ねて、1つの配線に繋ぎ込む装置を指す。複数の接続箱からの配線を集電箱で合わせて、PCSに送電する。PCSの出力だけを監視していても、太陽光パネル数枚の出力異常は見つけにくいが、接続箱ごとに出力を監視していれば、繋がっているパネル枚数が少なく異常を発見しやすくなる。

――ストリングごとに監視しなくても、出力異常のパネルを特定できるのか。

小西 もちろんストリング監視まで導入すれば、繋がっているパネル枚数はより少なくなるので、不具合のあるパネルはさらに見つけやすい。しかし、当然ながらその分、初期投資が上がる。そこまでコストをかけて、異常パネルを早く見つけて対処して発電量のロスを減らすことで、増加分のコストを回収できるのか。要は費用対効果を考慮する必要がある。接続箱ごとの監視でも、異常パネルの特定はかなり迅速にできることを考えると、現状ではストリング監視やパネルごとの監視まで細かく見る必要はないと考えている。