完工済みのEPC案件は合計で130MWに

――シャープというと、どうしてもパネルメーカーという印象がある。EPCサービス事業は、これまでどのくらいの実績があるのか。

小西 国内のEPC事業として手掛けた案件は、2014年1月末現在で29件、出力容量で合計100.1MWが完工している。3月末には完工済みの案件は約130MWまで増える予定だ。このほか、建設中の特別高圧案件は、北海道の45.6MW、24.7MW、10.2MWや長野県の8MW、広島での13.7MW、福岡県の16.8MWなど2014年2月現在で119MW分になる。

――国内で順調にEPC事業が伸びている背景は何か。

小西 実は、国内で固定価格買取制度が始まる前から、タイ・ロッブリ県で出力約73MWのメガソーラーのEPCとO&Mを受注・完工するなど、海外で現地企業と組んでメガクラスの太陽光発電システムを手掛けた経験があった。また、国内でも太陽光パネルメーカーとして、住宅用や産業用での蓄積があり、住宅や産業用でのハウハウを生かして、架台も自社で生産している(図3)。メガソーラーの企画から開発、EPCそしてO&Mまで担当でき、加えて、芙蓉総合リースとの合弁会社、クリスタル・クリア・ソーラーを通じて発電事業そのものも手掛けている。こうしたサプライチェーン全体のノウハウがあることが、大きな強みになっている。

図3●架台もシャープが開発・製造した
(出所:シャープ)
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――完工したメガソーラーの発電量は、どんな状況か。

小西 完工済みの29サイトの発電量は、今のところ上振れしている。ほとんどの発電所で、発電量の実績は、予測した発電量の100~110%となっている。太陽光発電システムは、パネルが発電してからPCSで直交変換して系統連系して売電するまで、システム内にいくつかのロスファクター(損失の要因)がある。設計時にはこうしたロスを保守的に(多めに)設定して発電量を予測する。100~110%の発電量が多いのは、こうした予測量の出し方も背景にあり、想定内と言えると思う。

――EPC事業者として、メガソーラー稼働後の発電量に関して、何らかの保証をする仕組みがあるのか。

小西 シャープは、EPCを請け負った案件の多くで、メンテナンス契約を結んでいる。稼働後の発電性能に関する保証には、メンテナンス契約の中の「システム効率保証」がある。これは、年間の所定の期間(晴天で、かつピークカットしない気象条件)において、実測した日射量と温度(モジュール裏面温度)を使って、まず「基準発電量」を算出する。その上で、実測発電量と基準発電量を比較した「システム効率」を定期的にレポートし、その値が、顧客との間で決めた「保証値」以下だった場合、保証値を上回るまでメンテナンスを実施するという仕組みだ。発電量自体を保証するのではなく、システム効率という形で発電性能を保証する。システム効率が100%を大きく下回るような場合、システムのどこかに不具合があるはずで、仮にパネルに異常があれば交換することになる。