シャープの小西貴雄・EPC事業企画部長
(撮影:直江 竜也)

シャープは、太陽光パネルの老舗で、国内トップメーカーとして知られるが、メガソーラーのEPC(設計・調達・建設)、O&M(運用・保守)サービス企業としても、国内外で有数の実績を持っている。本州最大となる鳥取県米子市の出力約42MWのメガソーラーも同社がEPCを担当した。パネルメーカーがEPCを手掛ける強み、メガソーラー設計と保守のポイント、今後の戦略などに関して、同社の小西貴雄・EPC事業企画部長に聞いた。

――シャープは、2014年2月に鳥取県米子市で運転を始めたメガソーラー(大規模太陽光発電所)「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」のEPCサービスを担当した。同メガソーラーは、本州で最大となる約42MWの大規模な発電設備となった。巨大さゆえに工夫したことはあったのか。

小西 「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」は、敷地面積53ha、東京ドーム11個分という広さになる(図1)。かつて工業用地、住宅地として造成したが遊休地になっていた。2013年1月に着工し、ほぼ1年で完工した。敷き詰めたパネルの枚数は、17万8000枚に達した。土木と電設で最大時で300人もの作業員が従事した。これだけ大人数の建設プロジェクトなので、月例会や毎日の連絡会など、情報伝達を密にしたほか、KY(危険予知)活動など安全面に力を入れた。安全大会を開催し、安全面に特に取り組んだ業者さんや職人さんを表彰した。

図1●2014年2月に鳥取県米子市で運転を始めた、約42MWのメガソーラー「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」
(出所:シャープ)
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 もともと工業用地なのである程度、整地してあったが、砕石を入れて固めるなど地盤を改良してから、コンクリートの基礎を現場で打った(図2)。パネルの設置角は10度にした。敷地内は、電気配線を埋設し、パワーコンディショナー(PCS)に繋げた。PCSは定格出力1MW機を28台設置した。系統連系に関しては、サイトから特別高圧変電所まで鉄道線路をまたいで6kmも離れていた。そこで、自営の送電線を引いてつなげた。公道の多くは道路を掘り起して地中に埋設した。

図2●現場でコンクリートの置き基礎を打った
(出所:シャープ)
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