潮来市には20年で約11億円の収入に

 2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度がスタートして以来、メガソーラーの立地場所として、道の駅いたこ周辺地区に対する問い合わせや事業計画の提案が多くの企業から潮来市に寄せられるようになった。市としては、これまで投資した金額を考えれば、雇用効果の大きい工場の誘致に望みをつなぎたい半面、これ以上、維持費をかけ続けることもできず、苦渋の決断として、メガソーラーの立地に踏み切った。

 工場ほどの雇用創出効果はないものの、水郷潮来ソーラー発電所が稼働することによって、潮来市には20年間で約11億円の収入が見込める。その内訳は、土地の賃借料が約6億7600万円、固定資産税の推計額が約3億円、法人市民税の推計額が約1億4000万円だ。土地の賃借料については、当初、潮来市は1m2当たり年間180円以上と公表していたが、最終的に1m2当たり年間250円での契約となった。加えて、毎年600万円かかっていた維持費がなくなる。ただ、それでも、これまでに投じた25億円には及ばないのが現実だ。木南社長が、「地域への貢献」を前面に押し出したのは、こうした経緯を踏まえている。

 環境ベンチャーならではの地域貢献策に強みがあるとはいえ、事業費を工面できなければ、メガソーラーを建設できない。連結売上高43億円(2013年5月期)のレノバが、総額で40億円に及ぶ巨大なメガソーラー事業を主導できたのは、プロジェクトファイナンスの組成に成功したからだ。その背景には、買取価格が40円(税抜)であることに加え、規模のメリットを生かした効率的な調達や施工などにより、プロジェクトIRR(内部収益率)を7~8%確保したことがある。事業費の約40億円のうち、9割はみずほ銀行から融資を受けた。それでも、DSCR(デットサービスカバレッジレシオ)は1.5倍となった。これは負債の元利払いに対するキャッシュフローの倍率で、返済の余裕を各期ごとに表す指標だ。DSCR1.5倍とは、収入から租税公課と経費を除いたキャシュフローの額が、元利支払い額の1.5倍あることを示す。