環境ベンチャーが全体の計画を主導

 発電事業主は、特定目的会社(SPC)の水郷潮来ソーラー(茨城県潮来市)。立地する土地は、潮来市と複数の一般地権者が所有する。地権者が土地管理組合を作り、潮来市が代表を務める。水郷潮来ソーラーは、この土地を借り、売電事業を営む。水郷潮来ソーラーへの出資比率は、環境ベンチャーのレノバ(東京都千代田区)38%、ミツウロコグリーンエネルギー32%、そして、芙蓉総合リース19.9%、みずほキャピタル10.1%という構成だ。レノバがデベロッパーとして事業計画を主導し、同社の木南陽介社長が水郷潮来ソーラーの社長も務める。

 レノバは、2014年1月に旧社名のリサイクルワンから変更した。2000年に木南社長が創業し、リサイクル事業を主体に成長してきた。日本を代表する環境ベンチャーとも言える。「メガソーラー事業を展開し始めたことで、社名と事業内容が合わなくなったため、社名の変更を決意した」と木南社長が言う。大手資本をバックにしたデベロッパーが、全国で巨大なメガソーラーの案件発掘と建設を競っているなか、約15MWものメガソーラーをベンチャー企業が主導している例は珍しい。この点、木南社長は、「ベンチャー企業だからこそ、潮来市から受注できた」と振り返る。

 「道の駅いたこ」に隣接した遊休地にメガソーラーを建設するプロジェクトは、潮来市による公募型プロポーザル方式で、2012年10月に発電事業者が決まった。レノバが主導する企業団のほか、複数の大手企業が応募した。潮来市は有識者による選定委員会を設置、同委員会による評価の結果、最終的にレノバの主導するグループの提案に対する評点が最も高かった。評点は、土地の賃借条件のほか、政策効果や地域貢献など総合的な視点で評価する。「最終的にレノバのグループを選んだのは、総合的な視点で評価したものだが、同グループの地域貢献への提案は特に評点が高かった」と潮来市の塙誠一・企業誘致推進室長は言う。木南社長も、「潮来市が広大な遊休地にメガソーラー建設を決断するまでの経緯、そして同市が東日本大震災の被災地であることも踏まえ、地域に貢献できる施策を提案内容に盛り込んだ」と提案内容の特徴を話す。