慶応義塾大学ビジネス・スクール(KBS)をはじめ世界6カ国のビジネススクールから成る国際共同研究・教育のアライアンス「The Council on Business & Society(CoBS)」は、ヘルスケアをテーマとした国際フォーラム「Second Annual International Forum 2014 ~Health and Healthcare」を2014年3月6~7日に慶応義塾大学 日吉キャンパスで開催した。会期2日目の3月7日には、ヘルスケア分野の技術/経営革新について論じるセッション「Technology and Management Innovations in Healthcare」が開かれ、医療業界や大学から招かれたスピーカーが登壇した。

インメモリー技術をゲノム解析に活用

 基調講演には、ドイツSAP社でヘルスケア分野のSenior Industry Advisorを務めるMartin Burger氏が登壇。ソフトウエア企業の立場から、技術はヘルスケアに対して、改善(improvement)/解析(analysis)/効率(efficiency)という三つの側面から貢献できると話した。

 このうち解析に貢献する技術として、大容量データをメモリーに格納してアクセス速度などを高めるインメモリー技術(in-memory technology)の効用を説いた。同技術はゲノム解析などに活用されており、SAP社は同技術に基づく解析プラットフォーム「HANA Platform」を提供中という。

 基調講演後にはパネルディスカッションが催された。Burger氏に加え、製薬大手の米Pfizer社や電子カルテ大手の米Cerner社の担当者などがパネリストとして参加した。議題は「技術や経営、ビジネスモデルの変化はヘルスケア産業をどのように変えるか」である。Pfizer社Senior Director, Emerging Markets Business UnitsのJianwei Xuan氏はこの中で、個人の遺伝情報や体質に基づく医療(個別化医療)の課題を指摘した。現状では診断コストが高いために限られた患者しか恩恵を受けられていないとし、今後のコスト低減の必要性を説いた。

パネルディスカッションの様子