固定価格買取制度(FIT)がスタートし、メガソーラー(大規模太陽光発電所)建設が相次ぎ、バンカビリティ(融資適格性)の高い日本メーカーブランドのパネルへの引き合いが殺到している。多くの国内パネルメーカーが、こうした引き合いに応じるための対応として、海外メーカーのOEM(相手先ブランドによる生産)品を自社ブランドとして販売し始めた。そのようななか、京セラソーラーコーポレーションの後藤政治社長は、「品質と信頼性を第一に考えれば、海外企業への委託生産品を自社ブランドで提供することには抵抗がある。セルからの自社生産品を提供し続けたい」と、シェアよりも品質維持を優先する姿勢を貫く。

 こうした愚直なまでの事業戦略は、太陽電池事業に取り組んで40年以上の間、市場環境が激変しながらも、着実に太陽電池事業を成長させてきた自負がある。その原点を千葉市佐倉市の「佐倉ソーラーエネルギーセンター」に見ることができる(図1)。

図1●1984年に設置した千葉県佐倉市の「佐倉ソーラーエネルギーセンター」。事務所棟の上には43kWの太陽光パネルを設置した
(出所:日経BP)
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