福岡県宮若市にある旧・貝島炭鉱跡の約30万m2の土地に、大和ハウス工業グループが建設している合計出力19.5MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)のフル稼働が間近となっている(図1)。今回のメガソーラーは、三つのメガソーラーからなる。出力1.5MWと同1.9MWのメガソーラーは、2013年10月から稼働しており、残りの同16.0MWのメガソーラーが2014年4月に発電を開始する。

図1●完成後のイメージ
(出所:大和ハウス工業)
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 「かつて石炭を通じて日本のエネルギーに寄与してきた土地が、太陽光発電所として、再びエネルギー供給に寄与できる場になった」――。建設に当たり、大和エネルギーの足立義輝・新エネルギー事業部 新エネルギープロジェクトリーダーは、立地する旧・貝島炭鉱跡の地主からこんな声を聞いた。「こんな思いを抱いて土地を貸してくれたのかと、身の引き締まる思いだった」と、足立リーダーは振り返る。

 近くには、トヨタ自動車の九州工場が立地する。そのため自動車関連産業などの工場誘致を狙って工業団地が整備された。メガソーラーは、その工業団地の一角にある。本来、期待していた工場を建設する企業に巡り合えないまま時が過ぎ、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の成立を前に、大和ハウスグループがメガソーラーを建設することになった。

リース方式を採用した理由

 今回のメガソーラーは、大和ハウス工業の子会社の大和エネルギーが発電事業者となり、九州電力に売電している。メガソーラーを建設したのは、大和ハウス工業である。これだけ見ると、大和ハウスグループ内で完結する事業のように見えるが、そうではない。

 メガソーラーを大和ハウス工業から買い取り、大和エネルギーに貸しているのは、三菱UFJリースである。地主から土地を借りているのも、三菱UFJリースである。

 このような事業の仕組みを採用した理由は、いくつかある。まず、大和エネルギーによる発電事業と、大和ハウス工業によるメガソーラー建設事業の役割を明確にすること。また、今回のメガソーラーの建設に要する約65億円を、大和エネルギー1社で調達することは難しい。三菱UFJリースならばファイナンス機能を担うことができる。

 今回のような出力約20MWの規模のメガソーラーには、一般的に特定目的会社(SPC)を設立してプロジェクトファイナンスの形でローンを組むことが多い。ただし、今回のメガソーラーの場合、SPCの設立や経営、運営に要するコスト負担の方が、リース料などの負担よりも大きくなると判断したものと見られる。また、契約の管理、賃金の授受の管理なども三菱UFJリースが担っており、リスク管理や管理業務に長けた企業と補完し合える利点が大きいといえよう。

 大和ハウスグループでは、さまざまな太陽光発電所の取り組みを通じて(関連記事)、メガソーラーの建設や発電事業の形態などに関して、事業の規模や地主などの違いに応じた、最適なスキームを見出だしつつあるという。今回のようなリースの手法についても、今後も適宜、活用していく。