スギの角材をシンプルに組み立てる

 同社では、山林環境本部に環境エネルギーグループを設置して、バイオマス発電や太陽光発電事業に取り組んでいる。木質系住宅関連資材や住宅設備機器の製造販売を行うグループ会社、住友林業クレストの鹿島工場に隣接した遊休地に、出力876kWの太陽光発電所「住友林業鹿島ソーラー発電所」を建設する計画が進んでいた。そこで、急きょ同発電所の一部を木製架台で建設できないか検討し始めた。

 台風などの強風にも耐える強度、こうした風雨に耐えながら20年間、太陽光パネルを支え続ける耐久性が求められる。加えて、架台建設を事業として軌道に乗せるには、コストが重要になる。鉄製やアルミ製など鋼材を使った架台に比べて、同レベルか安く作れなければ、事業性は確保できない。木化営業部で設計案を作り、強度や耐久性やコストを試算したところ、「なんとかいけそうだ。やってみよう」との結論に達し、本格的に動き出した。

 木材については、将来の量産とコストを考慮し、建材として一般的な105mm×105mm角のスギの人工乾燥材(KD材)を使った。この1種類の角材を極力、シンプルな構造で組み上げる設計を目指した。まず角材を一辺約4mの四角に組む。完成後、この上に8枚の太陽光パネルを載せることになる。この角材の枠を設置角20度の傾斜でコンクリート基礎の上に設置する。傾斜が高い方は角材を垂直と斜めに渡した(図3)。低い方は基礎と角材の間をレベル調整できる鉄の棒を渡して支えた(図4)。これが架台の1ユニット(基)となり、横に15ユニット並べて1列とした。

図3●架台1ユニットの構造
(出所:日経BP)
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図4●パネルの傾斜を低い方で支えるのは鉄の棒にした
(出所:日経BP)
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