保守のしやすさや短工期を実現する工夫

 また、290mという長い屋根の上ならではの工期短縮の工夫として、屋根の上にレールを敷いて、トロッコを使って関連資材を運んだ。こうした手法は、屋根の各部について耐荷重性などを熟知していることで初めて可能になる。

 このほかにも、さまざまな工夫や配慮がある。まず、堅牢そうな階段や、屋根の上の歩廊(図7)が目に付く。大人数の昇降や歩行に対応しやすくしたもので、点検やメンテナンスの容易性、安全性の確保が目的である。

図7●堅牢そうな階段と屋根の上の歩廊
点検やメンテナンスの容易性、安全性の確保を重視した
(出所:日経BP)
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 接続箱を寝かせずに、立てて設置したのも、運用や保守時の作業性への配慮である(図8)。立てている分、風圧への耐力が必要になり、設置に使った金具の重厚さも目を引く。

図8●接続箱を立てて設置し、作業しやすく
立てている分、重厚な金具で風圧への耐力を確保(出所:日経BP)
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 初めての屋根設置で検証的な側面もあるため、電源や散水栓、日射量センサー、温度センサー、遠隔監視用カメラといった発電システムの運用に必要なさまざまな機器を設置し、メンテナンスなどに生かしている(図9)。中には、過剰な設備と判断して、今回以降の屋根設置型の大規模発電システムでは簡略化したものもあるという。

図9●発電システムの運用に必要な設備を屋根の上に設置
左から、散水栓、日射量センサー、温度センサー(出所:日経BP)
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 太陽光発電システムについては、太陽光パネルには京セラ製、パワーコンディショナー(PCS)には東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。京セラ製の太陽光パネルは、今回の海沿いの立地における塩害の影響を考慮し、近隣にある電源開発の「響灘太陽光発電所」での実績があるため、TMEIC製のPCSは、総合的な評価の高さがそれぞれ決め手となって採用した。