屋根の塗装への悪影響を防ぐために

 太陽光発電システムを屋根に設置する際に、大和ハウスグループが、最優先するのが「建物にできるだけ負荷を与えないこと」(大和ハウス工業 プロパティマネジメント室 課長 西本良一氏)と強調する。

 建物に長けた大和ハウス工業が所有し、貸している建物なのに、太陽光発電システムを取り付けたことによって、何らかの悪影響が生じてしまったという事態は、どうしても防ぎたいからである。

 「建物にできるだけ負荷を与えない」とは、屋根の構造や塗装などに影響を及ぼさないだけではない。発電事業を続ける20年もの間、屋根のメンテナンスに悪影響を与えないことも含む。

 例えば、太陽光パネルのフレームなどにサビが発生した場合、そのサビが屋根に移ることで、建物が傷む可能性が出てくる。もし、このような状態が生じる予兆があれば、その太陽光パネルをすぐに取り外す必要があるという。

 また、屋根の塗装には耐用年数があり、防水用の塗装など、短い場合で5~10年間ごとに塗り替える必要がある。屋根の上に設置した太陽光パネルによって、塗り替えに支障が出てはならない。

 このため、パネルの設置に際しては、屋根の状態を目視で確認しやすい配置方法や、屋根を傷めない固定方法などを工夫した。

 今回の物流センターの屋根は、大型施設で一般的な「折半屋根」と呼ばれる、V字形状が横に連なる金属製の屋根だった。折半屋根の山状の部分に、傷をつけないことはもちろん塗装にも影響を与えず、かつ、風圧で太陽光パネルが吹き飛ばされない強度を実現できるように太陽光パネルを設置した。

 この目的に適した金具として、サカタ製作所や日栄インテックの製品を採用している。「ボルトの数が少ないなど、施工性にも優れており、施工作業者の負担が少ない。その結果、施工ミスも少なくなり、設置時間が短くて済む利点も大きくなる。施工性が良ければ、屋根の上で作業する日数が少なくてすみ、コスト削減にもつながる」(大和エネルギー 新エネルギー事業部 新エネルギープロジェクト リーダー 足立義輝氏)からである。