屋根設置型の大規模な太陽光発電システムの有望な立地として注目を集めているのが、広い屋根を持つ物流拠点である。福岡県北九州市のひびき灘にある「ひびき国際物流センター」の屋根に備える、出力2MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)もその一つである。長辺が290mという長い屋根に、8244枚の太陽光パネルが並んでいる(図1図2)。

図1●「ひびき国際物流センター」の屋根に設置した出力2MWのメガソーラー
(出所:日経BP)
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図2●290mと長い屋根に8000枚以上の太陽光パネルが並ぶ
(出所:大和ハウス工業)
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 ひびき国際物流センターは、大和ハウス工業が保有し、同社がテナント企業に貸している(図3)。 屋根の上のメガソーラーは、大和ハウス工業が設置し、子会社の大和エネルギーが発電事業者として、九州電力に売電している。大和エネルギーは、年間約8000万円の売電収入を得る計画で、発電を開始した2012年10月からの20年間で合計約16億円の売電収入を見込んでいる。

図3●屋根の下は、大型トラックが出入りする物流センター
大和ハウス工業が保有し、同社がテナント企業に貸している(出所:日経BP)
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 大和ハウス工業は、住宅から大型施設まで取り組む国内有数のハウスメーカー。事業の性格上、土地の確保や建物の建設に強みを持つ。太陽光発電についても、屋根への設置を中心に、15年間以上の経験を持つ。さらに、1999年に設立した大和エネルギーが、日本各地に設置した風力発電設備で、発電事業の実績を積み重ねてきた。

 大規模なビルなどの構造物に比べると、メガソーラーの建設は相対的に容易で、さまざまな企業に参入のチャンスがある。こうした中で、大和ハウス工業は、多くの構造物を手がけて蓄積した知見やノウハウを生かし、例えば、いかに少ない鉄の量で、いかに強い構造を作れるかといった技術によって、安全性と低コスト化を両立させることで強みを発揮できるという。

 このように、建物などの構造物と太陽光発電の両方で、豊富な知見を持つ大和ハウスグループにとって、初めて手がけたメガソーラーが、今回のひびき国際物流センターの屋根設置型である。