北海道旭川市は、日本屈指の寒い都市として知られる。積雪の深さは平年で約70cmと上越などの豪雪地帯に比べると少ないものの、真冬には日中でも気温が氷点下となる日が多く、降った雪は凍結してしまい解けにくい。2012年7月に固定価格買取制度が始まった当初、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設地を求め、大手企業が旭川を訪れた。だが、事業性へのリスクから大手資本によるメガソーラー建設は実現していない。

太陽光パネルの雪が滑り落ちる

 そんなメガソーラー事業には不向きと思われる地に、2013年11月29日、出力1.25MWのメガソーラー「旭川北都ソーラー発電所」が稼働を始めた(図1)。設計・建設から保守、発電事業を手掛けるのが、地元の電気設備会社、西山坂田電気(北海道旭川市)だ。同社は、「旭川北都ソーラー発電所」に先駆け、2013年9月30日に出力250kWの「旭川倉沼ソーラー発電所」も稼働させた(図2)。旭川市内で2カ所の太陽光発電所を運営する。

図1●2013年11月29日に稼働した「旭川北都ソーラー発電所」
(出所:西山坂田電気)
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図2●2013年9月30日に稼働した「旭川倉沼ソーラー発電所」
(出所:西山坂田電気)
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 2014年1月下旬、2つのサイトを取材で訪れた。その日は、晴れていたが、3日ほど前にまとまった雪が降り、市内には60cmほど雪が積もっていた。250kWの「旭川倉沼ソーラー発電所」は、市街からクルマで20分ほどの郊外にある。周囲は一面の銀世界だが、同発電所の太陽光パネルの上には、ほとんど雪が積もっていない(図3)。「晴れて太陽光パネルが発電を始めると、パネル表面の温度が上がって雪が解け始め、積もっていた雪が自然に滑り落ちるのですよ」。西山坂田電気の西山智・取締役経営企画室長はこう説明する。

図3●三日前にまとまった雪が降ったが、パネルにはほとんど残っていない
(出所:日経BP)
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