こうした不具合を防ぐために、太陽光パネルの回路には、バイパスダイオードと呼ばれるデバイスが組み込まれ、太陽電池セルに部分的な異常があっても、そこを回避して電流を流し、出力が低下しない設計が採用されている。
ところが、バイパスダイオードに電流が流れすぎてしまうと、バイパスダイオードが加熱しすぎて、焼け焦げてしまう。
これらは、月次点検で把握できるものである。月次点検は、稼働を止めずに点検するもので、不具合を見つけた場合、画像で確認してもらい、太陽光パネルの交換や精密な調査を推奨する。
また、自然災害にも留意しなければならない。例えば、日本は台風が多く通過する国であり、周囲からの飛散物による被害も想定できる。
中部電気保安協会では、台風が通り過ぎた翌日に、顧客に連絡して発電状況を確認したり、場合によっては直接、発電所に出向いている。
2013年の台風の到来時には、顧客の太陽光発電システムにおいて、PCSが停止した例がいくつかあった。台風で電力会社の配電線が一時的に停止したことによって、PCSの安全機能が働き、PCSが系統との連系を解除したと考えられる。
この場合、自動で系統に再連系することは禁止されているため、できるだけ早く気付いて再連系させないと、発電事業者にとっては、売電機会を逃してしまう。
PCSは、異常停止することも多い。設置場所によっては、系統の電圧と発電した電力の電圧の差が大きすぎるために、PCSが自動的に出力を抑制してしまい、売電量を逸した場合もある。
また、系統の電圧の変動が頻繁な場所にある太陽光発電システムでは、PCSの保護機能の設定次第で過敏に反応してしまい、出力停止と出力再開を頻繁に繰り返す事例もあった。
こうした事例は、電気保安協会だけで解決できる問題ではなく、顧客とメーカー、電力会社の協議によって解決していくことが必要だ。
図3の左上のバイパスダイオードが焼け焦げた例は、産業技術総合研究所の太陽光発電設備で撮影したもののため、その記述を加筆しました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2014/02/03 09:37]