設置コストの抑制と積雪への対策

 第1期の出力2MW分の太陽光発電システムは、設置の効率と発電の効率が最大となる旧・6~7番ホールに設置した。旧・6~7番ホールは、東西に広く広がっているため、太陽光発電に理想的な南向きに、多くの太陽光パネルを並べることができる。また、設置に要する余分なコストが少なく、さらに、高圧送電線に近い場所にある。

 設置コストを少なくする工夫として、ゴルフ場に植えていた木をできるだけ残して伐採コストを抑えた(図3、4)。また、土地を平らにする造成工事を不要にするために、コンクリート製の基礎を使わずに済む工法を採用したことも、設置コストの低減につながった。

図3●スタート台もそのまま残した
(出所:日経BP)
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図4●木はできるだけ切らず、緑も多く残す
(出所:森トラスト)
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 木をなるべく残しながら、発電量を最大にするために、木の影が太陽光パネルの上にできるだけかからないように設置を工夫した。架台は、コンクリート製の支柱を使って固定し、基礎を使わずに済むようにした。架台の高さを調整することで、ゴルフ場ならではの起伏があっても、太陽光パネルが同じように南を向くように工夫している。

 福島県の西白河郡は豪雪地域ではないが、年間最大積雪量の15cmを想定し、積雪への対策も必要だった。一般的に、発電中の太陽光パネルは、気温が5℃の場合、約25℃に発熱しているために、表面に多少雪が積もっても、その後、晴れれば、溶けて積もることは少ない。それでも溶けきらなかった時の対策である。

 豪雪地域では、太陽光パネルを設置する角度を30度以上とすることで、雪を滑り落とす設計とする場合がある。福島県西白河郡は、そこまで雪が降らない地域のため、今回は太陽光パネルを設置する角度を20度とした。ゴルフ場内で、造成をせずに太陽光パネルを並べられる限られた場所に、所望の発電量を確保できる枚数の太陽光パネルを設置するためである。

 20度は、太陽が傾いて影が長くなる朝や夕にも、影が隣の太陽光パネルにかかりづらく、より多くの太陽光パネルを並べられる角度であり、年間発電量をより多く確保できる。太陽光パネルの地面からの高さは60cmを基準とした。