今後は「ミドルソーラー」に着目

――当初の3年間、発電事業者の利益に配慮した買取価格の期間が終わると、太陽光発電所の申請ラッシュは止まると見ているのか。

九電工の本松政敏理事
(撮影:日経BP)
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本松 現在のような活況には、もうならないだろう。長期的には、高圧以内の1MW以下や500kW前後の出力の「ミドルソーラー」に着目している。大規模なメガソーラーの建設に向く土地は少なくなることから、工場などの大規模な建物の屋根の上や、小規模な土地などに設置するものである。

 面積が限られた場所での発電となるため、変換効率の向上がより進まないといけないだろう。また、屋根により多くのパネルを設置したり、施工しやすくするためには、パネルの軽量化が欠かせない。

――経済産業省は、北海道と沖縄本島で、一定規模以上の太陽光発電の系統電力網への接続に限界があることを発表した。メガソーラーの建設が活発な九州でも、今後、同様の事態が起きる可能性はあると見ているのか。

本松 地域によっては、接続できない地域が出てきているが、当面、九州電力の管内全体の接続可能量が限界に達する見通しはないと認識している。大分など、送電網が不足している地域はあるものの、特別高圧網には、まだ接続できる余力が多いだろう。

 九州では、東日本大震災以前、電力における原子力発電所への依存度が約4割と高かった。現在は、その原子力発電所の稼働が止まっているために、太陽光発電や風力発電による電力を受け入れる余力はまだあると見ている。