総合設備業となった歴史的な事情

――他の電力会社系の電設会社も、太陽光発電事業に取り組んではいるものの、どうしても電力会社との関係に配慮するところがあるように見える。どうして九電工は、そこまでできるのか。

本松 九電工ならではの事情として、1941年の設立当時から、他の電力会社系の電設会社に比べて、配電設備関連事業の比率が最も低い企業だったことがある。特別高圧送電線や海底ケーブルは別会社に割り当てられ、さらに、九州内のそれぞれの地域に、例えば佐賀県には佐電工といったように、九電工以外の配電設備の委託会社が多かったためである。設立当時で配電設備関連事業が売上高に占める比率が約25%、現在は20%以下である。

 そこで、配電設備工事業にとどまらない総合設備業として発展してきた。電力系の電設会社の中では、一般的な電気設備や空調の工事が売り上げに占める割合が最も大きく、設備・空調工事企業として、全国で4位となっている。

 さらに、情報処理や水処理などの子会社を持つ。これらを融合した総合設備業として、最近では、歌舞伎座(東京都中央区)の建て替え、ホンダの埼玉製作所寄居工場(埼玉県寄居町)、東京スカイツリー(東京都墨田区)などを手がけている。

――今後のメガソーラーの展望を教えてほしい。

本松 今後、数年間は、大規模な発電所の案件が増えていくと予想している。2013年度(2013年4月~2014年3月)に経済産業省が設備認定している買取価格が36円/kWhのメガソーラーですら、受注しているのは軒並み大規模な発電所である。こうしたメガソーラーは着工までに約1年間を要する。例えば、林地開発許可が必要になるために、仕掛かり期間が長くなる。

 そこに、現在、交渉中の案件を獲得すると、おおむね今後2~3年分、2016年度(2016年4月~2017年3月)一杯までの仕事量になると想像している。買取価格42円の案件も残っている上、10MW~数十MWといった大規模なメガソーラーの建設は、2015年初ころに着工し、完成までに1年~1年半かかるためである。

 例えば、2013年度の36円の買取価格の認定を受けるために、ある発電事業者分だけで、九電工から、ゴルフ場を転用するメガソーラーを5件、合計出力約100MW分を経済産業省に申請した。