名古屋記念病院は、2012年1月に電子カルテシステムを導入・稼働させた。従来から活用してきたFileMakerによる診療支援ソリューションを移行・発展させ、電子カルテシステムのとの密な双方向連携を実現した。また、電子カルテ、FileMakerシステム、電子化した紙文書をすべて診療録統合管理システムに一元化。診療記録の検索性、参照性を向上させるとともに、電子診療記録の真正性を担保する仕組みを作り上げた。


 1985年「がんと免疫」をテーマに、民間のがんセンターを目指して開院した名古屋記念病院は、急性期医療を提供する病院として地域の二次救急医療を担っている。当初から、がん化学療法に注力して多くの治療実績を上げる一方で、地域医療連携にも積極的に取り組み、500人以上の診療所の登録医と病診連携を推進している。2011年には社会医療法人の認定を受け、より公共性の高い医療施設として新たにスタートした。

 また、名古屋記念病院を中心に、新生会第一病院(96床)、透析クリニック(7施設)、障害者支援施設(2施設)とともにHOSPYグループを形成している。名古屋記念病院も血液浄化センターを持ち、グループ全体で約1000人の人工透析患者が通っている。

 同病院は、2004年にオーダリングシステムを入院部門で稼動させた。それ以降、外来部門オーダリング稼動(2007年)、Yahgeeによるメディカルドキュメント統合管理システム稼動(同年)、PACS稼動(同年)と病院情報システムを整備してきた。その一方で1995年頃から文書作成や患者評価、安全管理などにFileMakerを活用するなど、ユーザーメードシステムの構築にも取り組んでいる。

電子カルテ、FileMaker、ProRecordの連携図
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 2012年1月に稼動を開始した電子カルテは、両備システムズのOCS-Cube CLを採用し、FileMaker診療支援システムとの密な相互連携を実現。同時に導入した富士ゼロックスの診療記録統合管理システムであるApeos PEMaster ProRecord Medical(以下、ProRecord)とも連携し、DICOM画像を除くすべての診療情報の一元化を実現している。