トヨタ自動車は、介護・医療支援に向けたロボットを開発したと2011年11月に発表した(関連記事)。開発したのは、「自立歩行アシスト」「歩行練習アシスト」「バランス練習アシスト」「移乗ケアアシスト」の4種類。2013年以降の実用化を目指す、開発段階のロボットである。

自動車の延長線上の製品

トヨタ
自立歩行アシスト


 4種類のロボットは、いずれも人の“移動”を支援するためのもの。つまり、役割としては自動車の延長線上に存在する製品と言えそうだ。トヨタ自動車は今回のロボットを、「歩行に障害を持つ人でも、可能な限り自分で移動できるようにすることを狙ったもの」(同社 理事 パートナーロボット部の高木宗谷氏)と位置付ける。


 日本は今、急速に高齢化が進んでおり、こうしたロボットの需要は確実に大きくなるとトヨタ自動車はみる。「あと10年もたてば、高齢者がロボットを使って自立して行動するのが自然な時代になる」(同社の高木氏)。今回のタイミングで発表したのも、介護・医療機関のフィードバックを幅広く得ながら、早期の実用化に向けて改良のスピードを速める狙いがある。

自動車のノウハウを応用

トヨタ
移乗ケアアシスト


 移動を支援する今回のロボットの開発に当たり、トヨタ自動車は自動車の分野で培ってきたモータ制御技術を応用した。他にも、自動車と同様の制御理論や姿勢センサなどを活用したとする。


 ただし、単に自動車の技術を取り入れるだけでは、介護・医療の現場ニーズを正しくくんだ製品開発はできない。トヨタ自動車は介護・医療機関に決して強いパイプを持っていなかったことから、2006~2007年ごろの開発初期の段階で、協力を得られそうな機関などを自ら調べ、声を掛けて回った。