ORCA/FileMaker連携で蓄積した資産を円滑に活用

 ORCAは、電子カルテ連携のためのデータ交換フォーマットとしてCLAIM(Clinical Accounting Information)というオープン化された標準形式を採用している。FileMakerとORCAのデータベース(PostgreSQL)は、直接接続する手段がない。そのため、FileMakerで保証されているODBC経由で連動する以下の仕組みを提案し、構築した。ORCAのCLAIM通信による対象患者をORCA監視プログラムにて取得。同時にORCAのデータベース(PostgreSQL)から患者基本情報、病名データを取得し、SQLデータベースに出力する。これにより、患者基本情報や病名データ、CLAIMで提供されるデータベース以外からのデータ取得も可能となる。

外来電子カルテ「Doctor’ s DeskⅡ」の画面
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 その後、データベースにアクセスする共通インターフェースであるODBC(Open Database Connectivity)接続されたFileMakerにインポートされる。ORCAで受付登録、患者登録画面でそれぞれ登録を押した時点で、患者基本情報と病名データは、専用SQLデータベースを介してリアルタイムにFileMakerのデータベースも更新し、各ファイルに自動的に入力される。

 「患者名、ID、保健情報、病名などをFileMakerの患者データベースに手作業で再度入力していたのですが、自動化されて負担が大幅に軽減されました。医療クラークが患者IDを入力するだけですぐにFileMakerが使えるようになり、診療やドキュメント作成時間の短縮につながっています」と、髙萩氏はORCAとFileMaker連携による成果を指摘する。

FileMakerで作成した栄養食事せん。これまでに多くのファイルが蓄積されている
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脳梗塞用パスの一例。検査、処置、処方など治療計画をFileMakerで作成している
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 これまで作成してきたFileMakerのファイルは、紹介状や診断書、主治医意見書などのドキュメント類をはじめ、入院リスト、病床管理、手術所見、脳ドックカルテ、給食・栄養管理など100種類近くある。このうち頻繁に利用するのは約30種類で、ポータル画面に集約され業務に活用されている。それらの中には、クリティカルパスや新たに稼動した急性期リハビリのためのリハ処方せんなどもある。

 特にクリティカルパスは、頻度の多い疾患別に重症者用・軽傷者用・短期入院用などいくつかのパターンで作成されており、生理・画像検査スケジュールや処置、投薬パターンを登録したフォームに個別計画を入力して運用している。「パスはFileMakerで作成後にプリントアウトして病棟に回していましたが、今は作成と同時に病棟端末で参照できるため、患者の到着と同時に点滴などの医療行為が速やかに行えます」(髙萩氏)。FileMakerは、患者へのムンテラ予定など医療スタッフのスケジュール管理にも利用されており、日常業務の円滑な進行に欠かせないツールになっているという。