自作システムやWebサービスとの連携でシステム環境を整備

 大関氏は、参照用医療画像や紹介状、主治医意見書、手術記録といった紙文書の電子化、検査センターからのデータ取り込みなど、手をつけられるところから徐々にシステム化していこうと考えている。その際に、smart viewerがFileMakerをプラットフォームにしていることがメリットになる、と指摘する。

 「FileMakerによる開発経験はありませんが、医療現場のニーズを拾い上げてシステム化するのにパッケージと比べて安価に構築できるでしょう。院内に導入したFileMakerシステムとの連携も、スムーズにできるだろうと考えています」(大関氏)。また、クラウドサービスであるメリットを生かして、アプリの連動により医薬品情報提供サービスなどの利用も簡単にでき、活用の幅を広げられるのでは、と期待している。

 開発元の三栄メディシスでは、より電子カルテに近い機能を実装したクラウドサービスの開発、「OsiriX」(オザイリクス)とFileMakerで連携した安価なPACSサービスの提供、など様々な取り組みを計画しているという。こうしたサービスとの連携により、コストを抑えて有床診療所の情報化を進展できるのでは、と大関氏の期待は膨らむ。

 「当クリニックには研修中の看護師もいます。若い看護師は、現場でエビデンスに基づいた看護計画を実践しようという意欲が高い。小さな医療施設だからその実現のためのシステム化が不十分です、というのはもう許されないと思います。職員のモチベーション高揚のためにも、情報化は重要。投資負担を抑えて実現できることは、当クリニックのような規模の医療機関にとって非常に重要です」と大関氏は指摘し、今後もシステム環境整備を進めていきたいと結んだ。


佐々木記念クリニック

■診療所概要
名称:佐々木記念クリニック
住所:栃木県宇都宮市屋板町578-38
診療科:脳神経外科、神経内科、内科、外科、脊椎脊髄科、整形外科、理学診療科
病床数:19床
Webサイト:http://www2.ucatv.ne.jp/~sasaki-n/
導入システム(サービス):三栄メディシス「smart viewer」(FileMaker Server、FileMaker Go他)