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泉南新家クリニック(大阪府泉南市):自院で開発した透析業務支援システムを無償提供

FileMakerによる透析業務支援システムで業務効率化

2013/03/26 00:00
増田克善=医療ITライター

 大阪府泉南市の泉南新家クリニックは、FileMakerで透析部長自ら開発した透析業務支援システムを運用。透析業務の効率化と安全性の確保を実現している。透析現場スタッフの誰もが使えることをコンセプトに開発した同システムの特徴を活かし、導入コストや技術担当者の不在などが原因でシステムを導入していない小規模施設にも利用してもらえるように、無償提供を計画している。


 2007年12月に開業した泉南新家クリニックは、内科、リウマチ科、アレルギー科を標榜する有床診療所(16床)だ。特にリウマチ科を専門とし、その治療の一環から透析センターを開業時から運営している。透析ベッド20床を有し、月・水・金が午前・午後の2クルー、火・木・土が午前の1クルー体制で運営している。透析患者数は現在48人で、午前中の透析が満床状態になりつつあり、増床を計画しているという。

透析部長(臨床工学技士)の高木堅二氏

 透析業務の効率化と安全性確保を実現するには、各種の透析業務支援システム(透析情報管理システム)の利用が考えられる。だが、病院情報システムや血液透析装置とシステム連携するメーカー製システムは導入コストが大きく、診療所の透析施設ではほとんど導入されていない。患者情報管理など一部を市販の汎用ソフトで行っている施設もあるが、ほとんどが手書きの紙媒体で運用しているのが実状という。

 そうした中、泉南新家クリニックは、開業時からFileMakerで透析業務支援システムを独自に構築し、改善を続けながら運用してきた。

透析現場スタッフ誰もが使えることをコンセプトに

透析センターで運用する自作の透析業務支援システム

 FileMakerによる透析業務支援システムを開発しシステム改善を行ってきたのが、同クリニックの透析部長で臨床工学技士の高木堅二氏だ。開業前に勤務していた施設で運用していた、FileMakerによるアプリケーションをベースに開発したシステムを運用してきた。

 「透析業務は多岐にわたり、透析記録をはじめ、様々な伝票への手書き作業を伴います。患者基本情報など共通情報の転記でミスが発生する危険性もあり、業務効率化と安全性確保のために情報の一元化は非常に重要です。透析中の血液透析記録など紙媒体も並行運用していますが、業務のシステム管理が必要になります」(高木氏)。

 高木氏によると、全国で透析関連施設は約5000施設あると言われているが、透析業務をシステム化しているのは2~3割程度だという。中でも、メーカー製システムの導入コストが高い、導入を主導する人材がいない、透析業務スタッフの主体である看護師のシステム操作に対する抵抗が大きい、というのが大きな障害となっている。そこで高木氏は、現場の看護師や助手でも容易に使いこなせることをコンセプトに開発を進めた。「実際に透析業務を行う看護師が、どのようなデータを必要とするか、準備や記録で操作しやすいことを重点に仕様・機能を実装しています」(高木氏)。

情報管理主任(臨床工学技士)の田代庸平氏

 その一例として、最も重要で基本的な患者管理の画面構成を挙げる。患者管理情報には、氏名・住所・透析曜日といった基本情報、病歴、透析条件、(透析)履歴管理などがある。これらの情報は、「患者基本情報」というメニューの中で患者ごとの画面内で、タブの切り替えによってそれぞれの情報を表示できるよう構成されている。

 「管理する情報ごとで画面選択が多いと、操作におけるナビゲートが悪くなり、現場では使いにくいという評価になります。そのため、業務の流れの中で必要になるデータをできるだけ集約し、参照・入力しやすい構成にしています」(情報管理主任で臨床工学技士の田代庸平氏)。

 患者情報管理などはExcelなどを使うこともできるが、透析条件の各データ、ダイアライザーや使用薬剤、血液検査データなどすべての情報をデータベース化して管理しているので、記録用紙へのデータ転記や統計処理、履歴管理などが自動的に行える。例えば、データベース化された透析履歴データ、検査データから、患者IDを入力すると自動的に透析サマリーが作成される。田代氏は「患者さんの状態が急に悪化して転院が必要になったときなど、素早く透析サマリーを作成して紹介状として簡単・迅速に提供できます」という。

 また、血液検査データは自動取り込みできるようにした。従来は検査会社から提供されるデータをプリントアウトし、透析カルテに貼り付けていた。検査会社によってデータ提供仕様がことなるため、データ取り込み用のインターフェースの作成が必要になるが、自動的に取り込むことによって情報の一元管理が可能になる。

透析スタッフの誰もが容易に使えることをコンセプトに開発
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 透析実施時のデータ管理で、最も手間がかかるのは透析記録の記載。同クリニックでは記録用紙をプリントし、手書きで透析中のバイタルデータを記載している。「患者基本情報だけでも、手書き記載すると1患者に4~5分程度の時間を要します。システム化後は患者基本情報、透析条件などはすべて入力されているので、それだけでも相当な記録業務の効率化が達成できます」(田代氏)と話す。

 現在、同クリニックの透析業務支援システムは単独で稼動しており、他のシステムとのデータ連携は行われていない。今後はレセコンとのデータ連携を行い、患者基本情報を転送できるようにしていくという。そうした情報連携によって、さらに業務の効率化とデータ転記の際のミス削減を目指す。

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