ナビゲーターを務めた睦町クリニック院長の朝比奈完氏
ナビゲーターを務めた睦町クリニック院長の朝比奈完氏
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在宅医ネットよこはま代表の岡田孝弘氏(オカダ外科医院院長)
在宅医ネットよこはま代表の岡田孝弘氏(オカダ外科医院院長)
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カナミックネットワークの専務取締役 山本拓真氏
カナミックネットワークの専務取締役 山本拓真氏
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在宅医ネットよこはまで利用されているカナミックネットワークの多職種間情報共有サービス
在宅医ネットよこはまで利用されているカナミックネットワークの多職種間情報共有サービス
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 8月30、31日に東京医科歯科大学M&Dタワーで開催された「クラウド医療・健康・福祉フォーラム」で、在宅医療・看護・介護の連携におけるクラウドサービスの活用事例に関するプレゼンテーションが行われた。

 神奈川県横浜市の在宅医や歯科医などが会員となって活動する「在宅医ネットよこはま」の代表 岡田孝弘氏(オカダ外科医院院長)が、2012年6月から運用するクラウドサービスを活用した多職種情報共有について講演。同団体で利用するクラウドサービスのコンセプトや概略を、カナミックネットワークの専務取締役 山本拓真氏が紹介した。

 セッションのナビゲーターを務めた鴻鵠会 睦町クリニック院長の朝比奈完氏が、まず3年前から自院で利用し始めたクラウド上で稼動する情報共有システムが在宅医療で果たした役割と、その利用によって得られた成果について述べた。

 同クリニックの在宅患者は、昨年末までに約500人がクラウドサービスに登録され、日常的には稼動状態にある患者は約160人。情報共有サービスにアクセスする事業所は140施設を超え、総アカウント数は200に達している。同サービスは睦町クリニックにとっての情報ハブとして稼動し、従来電話やFAX、電子メールでやり取りされていた在宅医と訪問看護、介護職スタッフの情報伝達環境に取って代わった。また、電子カルテの情報もコピー&ペーストで同サービスにアップされ、在宅患者に関わるスタッフ間で共有されている。

 こうした在宅医・訪問看護師・介護職の多職種間で連携・共有される情報について朝比奈氏は、「病院の医療がEBM(Evidence-based medicine)であるのに対し、在宅医療はNBM(Narrative-based medicine)、過程の医療。そこで扱われる情報はデータだけでなく、想いや感情などの意識に基づく“物語”である。より良い在宅医療の実現には、その“物語”を簡単に共有できるツールが求められる」と強調した。

 そして、情報共有ツールの活用で学んだことは、「想いや感情といった意識を共有することは、それだけで人を支えることができ、多職種のスタッフが単なる連携からチームという一体感を持つことができるようになる。また、各スタッフがそうした情報に接することで、成長するチャンスの醸成にもつながる」と述べた。