しかし、その場合には、PCSの台数を増やすことで得られる発電量の増加のメリットよりも、PCSの台数が増えたことによるデメリットの方が大きくなるでしょう。

 まず、PCSの台数が増えれば、メガソーラー全体での部品点数が増えるために、故障の回数が増える可能性が高くなります。それから、台数が増えれば、当然、メンテナンスする台数が増えますので、メンテナンスコストが高くなるからです。

 規模が大きくなるほど、メンテナンスコストが重くなりますので、大規模なメガソーラーほど、発電事業者はできるだけ容量の大きなPCSを採用し、台数を減らす意向が強くなります。

 日本の場合、まだそれほど大規模なメガソーラーは限られていますが、規模の大きなメガソーラーの建設が盛んな米国などでは、PCSの商談において、最初にメンテナンスコストの質問をする傾向があるくらいです。

 また、台数が増えれば、メガソーラー内の配線の合計距離が長くなり、配線のコストが高くなります。配線については、PCSを配置する場所にも左右されます。

 例えば、のように、太陽光パネルの配置をPCSの容量に合わせてブロックに分けて、それぞれのブロックの中央に、PCSと高圧に昇圧するトランスを配置します。この理由は、太陽光パネルから接続箱、集電箱、PCSまで接続する配線の長さが、一番短くなる配置だからです。

配線による損失を抑制する配置の例
低圧の電流が流れる配線をできるだけ短くすることがポイントとなる(出所:著者)
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 また、PCSによる交流出力は、低圧であるために電流が大きくなります。この低圧の電流が流れる配線は、長く引き回すほど損失が大きくなります。このため、PCSの近くに高圧に昇圧するトランスを配置することで、送電線に連系する引き込み柱までの交流側の損失も小さくすることが可能になります。

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