メガソーラービジネスを安定的に運営し、収益性を高めるには、「発電事業者」である運営者が最低限の電気設備の知識を備え、適切な太陽光発電システムを構築・運用するのが前提になる。国内メガソーラー向けパワーコンディショナー(PCS)の最大手である東芝三菱電機産業システム(TMEIC)の技術者で、当サイトのアドバイザーでもある伊丹卓夫氏が、メガソーラーに新規参入した事業者が抱く、いまさら聞けないメガソーラー技術の基本に答えた。

 第1回の回答と重なる部分がありますので、今回は、第1回で触れなかった内容を紹介しましょう。

 メガソーラーにおけるPCSの選択として、できるだけ出力が大きい機種を選んで、より少ない台数導入する方が良いのか、小さい出力の機種を多い台数導入した方が良いのかという点です。例えば、出力10MWのメガソーラーに、500kW機を導入するのか、250kW機を導入するのかという選択です。

 PCSは、第4回で紹介した、MPPT制御(最大電力点追従制御)によって、太陽光パネルの特性に合わせ、発電できる電力を最大限まで絞り出すことができます。太陽光パネルの出力を常に最大化できるように、パネルから最大の電力を引き出せる電圧(最大電力点)を求め、その電圧で太陽光パネルを発電させることによって実現します。

 その際、厳密に言うと、パネルの置かれた環境や日射量によって最大電力点は異なるので、小容量のPCSを小さい区域ごとに設置してMPPT制御した方が、それぞれのパネルに合った最大電力点で発電できることになります。例えば、寄棟式の屋根上のようにパネルの向きが異なっていたり、一部のパネルに雲などの影がかかってしまった場合などが考えられます。

 実際に住宅用の小型PCSでは、一つのPCSで回路ごとに複数のMPPT制御する機能を持つ機種もあります。南向きの屋根と東向きの屋根に取り付けた太陽光パネルの間で、日射量が大きく違う時間帯が多いからです。

 しかし、メガソーラーのように、地上に同じ向きで太陽光パネルを設置する場合、パネルごとに日射量が変わる時間帯はほとんどありません。考えられるのは、規模の大きなメガソーラーにおいて、部分的に雲がかかる場合です。その際には複数のPCSでエリアごとにMPPT制御した方が、より多くの出力を実現できる可能性はあります。