賃料の上昇と「発電保証的」な要求への対応

――土地の賃料の話が出たが、メガソーラーの普及が進むにつれて、高くなっているのか。

九電工の本松政敏理事
(撮影:日経BP)
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本松 自治体による公募では当初、地域貢献が採用の重要な条件だった。武雄市のメガソーラーの案件を通じて、太陽光発電だけでなく地域貢献などのノウハウも蓄積し、さまざまな地域の公募で採択されるようになった。例えば、長崎県五島市の福江港、宮城県名取市、最近では、長崎県長崎市の三京メガソーラーなどである。また、武雄市の最初のメガソーラーを成功させた信頼関係から、佐賀支店では14件、合計出力約16MWを手がけている。

 しかし、最近では、自治体の財政難を解消する一環として、より多くの実を得る、具体的には、賃料をより優先した入札や、自ら発電事業者として売電収入を得る公募が増えている。

 例えば、九電工が受注した三京メガソーラーは、長崎市が発電事業者となる。リース方式を活用して長崎市の資金負担を減らした上、「発電保証的」な対応への要求に応える必要が出てきた。そこで、できるだけ太陽光パネルを多く設置する設計とした上で、この要求を満たすように工夫した。

 賃料については、東北地方で実施された公募における採択点の半分が賃料としていた例があるなど、その比重が高まっている。この例では、最低賃料の1m2あたり80円に対し、採択された企業は300円で入札していた。屋根設置型の出力100~200kWレベルの小規模な案件でも、最低賃料が80円など上昇している。