生産工程のほとんどを自動化

図2●ガラス基板を生産ラインにセットするロボット
(出所:日経BP)
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図3●電極が形成されたガラス基板
(出所:日経BP)
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 同工場の生産ラインは、2グループ約300人で操業しているが、生産ラインを見学していると従業員はまばらで、1日に1万5000枚ものパネルを生産している現場としては、驚くほど人が少ない。その理由は、生産工程のほとんどが自動化されているからだ。ロボットがガラス基板を持ち上げてラインにセットするところから生産ラインが始まる(図2)。基板は、ローラーの上を移動しながら、各種の製造装置を通過することで、徐々に電極構造が形成されていく(図3)。完成したパネルは、自動搬送機に乗って、巨大なストックヤードに運ばれ、収納される。生産ラインでの仕掛品や倉庫の完成品の状況は、すべて生産プロセスや在庫を管理するコンピューターシステムが統合的に把握している。ソーラーフロンティアの太陽光パネルは、国産パネルとしては最もコスト競争力があり、それが採用の進む要因の1つになっている。そのコスト競争力の背景には、こうした究極まで自動化した生産ラインの存在がある。では、人は一体何をしているのか。作業ロボットなどの管理のほか、多くの人員は製品の品質を検査する役目を担っている。生産に従事する1グループ約150人のうち、実に約100人が検査要員だ。

 CIS型太陽電池の生産工程は、ガラス基板に半導体材料で電極構造を形成し、表面をカバーガラス、裏面をバックシートでカバーして枠を取り付け、モジュール(パネル)に組み立てるという流れになる(図4)。出来上がったパネルは、全品について出力特性などを検査して不良品を排除するが、製造過程のなかでも随所でセンサーや人の目視により、品質を検査する。加えて、定期的に製品を抜き出して、耐圧性や絶縁性などを試験する。「製造工程でのインラインの検査とランダムな抜き打ち試験により、ダブルチェックしている」(掛川工場長)。

図4●バックシートが装着されて完成間近のCIS型太陽電池
(出所:日経BP)
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