瞬低や停電時でもPCSの運転を維持

 (5)の系統連系保護については、過電圧継電器(OVR)、不足電圧継電器(UVR)、過周波数継電器(OFR)、不足周波数継電器(UFR)、単独運転保護装置(受動、能動それぞれ1点ずつ)などによって実現します。ここでは、単独運転保護の一環として、2014年4月から運用が開始されるFRT(fault ride through)を紹介します。

 FRTとは、図4の交流系統事故時の電圧の動きに示した通り、電力系統における事故などによって、瞬低(瞬間的な大幅な電圧の低下)や停電が発生した時でもPCSの運転を維持させる機能です。落雷などによって電力系統の回線が切り替わることで電圧が瞬間的に低下したり、周波数に異常が生じた際などに、PCSがこれらの擾乱を検知して一斉に自動停止する可能性があります。この現象が生じると、電力系統の需給バランスが崩れて、広い範囲で停電する可能性があるのです。

図4●交流系統の事故時の電圧の動き
電力系統に瞬低や停電が発生した時でもPCSの運転を維持させる(出所:著者)
[画像のクリックで拡大表示]

 そこで、PCSが交流系統の電圧波形をモニターし、系統電圧が一定量まで低下しても、事故時の運転を一定時間維持するのが、FRTやLVRT(low voltage ride through)といった機能です。

「Q&A」で、取り上げてほしい疑問、回答者の東芝三菱電機産業システム(TMEIC)の伊丹氏に聞いてみたいテーマを募集しています。こちらにご記入下さい。