メガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設する資金の一部をプロジェクトファイナンスで調達する例が増えている。一般的なプロジェクトファイナンスは、金融機関がローンの担い手になるが、機関投資家から資金を調達する金融手法も始まっている。こうした証券化スキームでは、一般投資家にも分かりやすくプロジェクトを評価する「格付け」が重要になる。国内のメガソーラー事業に対する格付け評価で最も実績のあるのが日本格付研究所(JCR)だ。JCRのメガソーラー格付けのアナリストに、格付け評価の視点から見たメガソーラー事業の評価基準について聞いた。

本多史裕チーフ・アナリスト
加藤直樹チーフ・アナリスト
杉浦輝一チーフ・アナリスト
日本格付研究所ストラクチャード・ファイナンス部プロジェクト&アセット・ファイナンス室
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――格付けというと企業が発行する社債に対する評価というイメージが強いが、債券でなく、プロジェクトファインナンスに対する格付けは、金融の世界では一般的なものなのか。

 欧米では30年程度の歴史があるが、国内ではここ5~10年で普及し始めた。例えば、羽田空港の国際線ターミナル事業や公務員宿舎綾瀬川住宅などのPFI(Private Finance Initiative:民間資金による社会資本整備)事業などが最近の代表的なもの。実は、交通分野のPASMO(パスモ)事業も当社で格付けした案件の1つだ。こうした国内のプロジェクトファイナンスに対する格付けは、AAレンジのものもあるが、一般的なプロジェクトファイナンスにはAやBBBレンジのものが多い。