宮古島は、沖縄本島からさらに南西に約300km。面積は、約204.5km2で大阪市より少し小さい。宮古島市の人口は約5万5000人で、そのほとんどが市街地である平良地区に住んでいる。平坦な地形にはサトウキビ畑が広がり、美しい海岸線やサンゴ礁を目当てに、海水浴やダイビングなど1年を通じて観光客で賑わう。
4MWの太陽光に4MWの蓄電池
電力需要のピークは、約50MW。基幹電源である合計出力59MWのディーゼルエンジン発電機のほか、合計出力15MWのガスタービン発電機、そして、合計出力4.2MWの風力発電設備が島の電力需要を支えている。2010年10月、これらの電源に加え、出力4MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が、稼働を始めた(図1)。経済産業省の「2009年度離島独立型系統新エネルギー導入実証事業補助金」を活用して建設したものだ。同実証事業の目的は、出力変動の大きい太陽光発電を大量導入した場合、送配電網(電力系統)にどんな影響を及ぼすか把握し、蓄電池による系統安定化に資する制御機能の検証を行うことにある。そのため、合計出力4.1MWの蓄電池も導入した。現在、実証事業は最終段階に入っており、これまでの実証メニューで、蓄電池を使ってメガソーラーの出力を平準化したり、計画的に発電したりすることで、電力品質の安定化に大きな成果を上げている。
宮古空港を降り立ち、南東にクルマで30分ほど。切り立った海岸線を右に見ながらアクセルを踏むと、左手に2基の風車が現れ、その根元から道沿いに約1kmにわたって整然と並らんだ太陽光パネルが目に入る。同実証事業のサイトだ。頻繁に台風に襲われるため、太陽光パネルの設置角度は5度まで寝かせた(図2)。架台の強度は、基準風速46m/秒、瞬間最大風速73m/秒を考慮している。加えて、海に面しているため、太陽光パネルと架台は重耐塩仕様を採用したほか、パワーコンディショナー(PCS)や蓄電池などの電気設備は、すべて建屋の中に収納した(図3)。