今回のシリーズは、太陽光発電システムの構築や保守などで知られるネクストエナジー・アンド・リソース(長野県駒ケ根市)の担当者に、メガソーラー(大規模太陽光発電所)のO&M(運用・保守)の状況などについて聞いている。第7回目となる今回は、同社の太陽光パネルのリユース(再使用)ビジネスを通じて蓄積された、太陽光パネルの劣化事例のうち、セル(発電素子)のクラック(割れ)に起因するものについて紹介する。

――太陽光パネル(太陽電池モジュール)の出力が低下するのは、どのような原因が考えられるのか。

 まず、太陽光パネル表面の汚れやゴミの付着があるが、これは取り除けば直る一過性のものだ。問題となるのは、一度起きてしまうと、恒常的に出力が低下してしまい、直らないものだ。その原因としては、当コラムの第5回で解説した封止材(EVA)の変色、剥離、第6回で解説したハンダ付けの不良がある。

 そして、もう1つの恒常的な出力低下につながる要因が、セル(発電素子)の「クラック」だ。クラックとは、結晶シリコンは硬いが脆いという性質を持つ材料であるために、機械的なストレスによってひびが入ったり、割れてしまう現象だ。クラックは、ほとんどの場合、目で見てわかるものではない。パネルに順方向電流を流してpn接合で赤外発光する像を専用カメラで観察するEL検査で明らかになる(図1)。

図1●EL画像によって可視化されたクラックの部分
(出所:ネクストエナジー・アンド・リソース)
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