九州電力・経営企画本部の能見和司部長(撮影:増田泰久)
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九州には国内最大級のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の竣工が続いている。固定価格買取制度(FIT)に基づく設備認定の数も関東と共に群を抜いて多いなど、太陽光発電の集積地の様相を呈してきた。北海道、沖縄に続いて、九州も近い将来、メガソーラーの電力系統(送配電網)への連系(接続)に制限がかかるのではないか、と危惧する声も出てきた。今後の見通しに関して、九州電力・経営企画本部の能見和司部長に聞いた。

――設備認定の地域別容量を見ると、2013年7月末までに関東が560万kW、九州が542万kWとこの2地域が群を抜いている。

能見氏 たしかに太陽光発電の設備認定の容量は、関東と九州が突出して多く、両地域を合わせると全国の約半数に達する。九州と関東は、ほぼ同程度の容量だが、九州の最大電力需要(約1300万kW)は、関東(約4000万kW)の3分の1の規模に過ぎない。出力が変動する太陽光発電を電力系統に安定的に受け入れるには、系統規模が大きいほど有利だ。つまり、同じ容量の太陽光発電設備が九州と関東に連系した場合、電力系統へのインパクトは3倍になる。

700万kWは、「限度」でなく「見通し」

――近い将来、北海道や沖縄のように電力系統(送配電網)への連系(接続)が制限されるようなことはないのか。

能見氏 FITが施行されて連系の申し込みが急増しているのを受け、2013年3月に風力と太陽光発電の2020年度での導入見通しを、それまでの300万kWから700万kWに大幅に上方修正した。内訳は風力100万kW、太陽光600万kWという想定だ。この「700万kW」という数字はこれ以上、連系しないという「限度」ではなく、あくまで「見通し」だ。

 例えば、12月初旬の九州管内における最大需要が1300万kWということを考えれば、700万kWを受け入れるのは簡単ではないが、今後、系統安定化に関する技術開発を進めることで、なんとかなると考えている。再生可能エネルギーの普及に関しては、積極的に推進する立場だ。とはいえ、九州電力の最も基本的な使命は、「電力の安定供給」であることも踏まえ、風力・太陽光の出力変動を安定的に受け入れる技術開発に力を入れたい。

――太陽光発電は、現在、どのくらい導入されているのか。

能見氏 2013年10月末時点で約200万kWに達した。同年7月には約160万kWだったことを考えると、いかに短期間で急増しているかが分かる。電力系統を運用する立場から見ると、太陽光の最大出力は、定格の3分の2程度になるので、九州全体が晴れると130万kWの出力になる。最大電力需要1300万kWに対して130万kWというと、電源構成で10%のように見えるが、実際には10%を超える。