経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー対策課の村上敬亮課長(撮影:清水 真帆呂)
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 再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施行されてからの約1年半、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の計画や建設ラッシュが続いた。再生可能エネルギーを推進する立場にあり、同制度を所管する経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー対策課の村上敬亮課長に現状の分析や今後の課題などを聞いた。

――再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施行されてから、約1年半が経過した。この間の太陽光発電に関する状況を、どのように捉えているのか。

村上氏 当初、想定していたよりも、早いペースで進んでいると感じている。特に、太陽光発電の設備認定は1年目に合計2000万kWを超えたが、この数値は約3年間で到達することを想定していた数値だった。

 この一方で、よく指摘を受ける、「設備を多く認定しすぎではないか」、「太陽光発電に対する初年度認定分の1kWあたり42円(税込み)という固定買取価格は、本当に全事業者に必要な価格だったのか」といった点については、詳しい調査が必要だと感じている。

 このうち、設備を多く認定しすぎではないか、という指摘に対しては、そもそも、固定価格買取制度は、再生可能エネルギーによる発電所の導入を促すための制度であると言いたい。

 また、初年度の固定買取価格について、42円ではなく、2年目に設定した37.8円で十分だったのではないかという指摘に対しては、この価格差による合計買電額の差は、よく耳にする1兆円などではなく、数百億円のレベルである。国民負担の合計としては、大きな額かもしれないが、できるだけ少ない国民負担で、より多くの再生可能エネルギーを導入する観点から、これだけ多くの発電事業者が参入しはじめ、エネルギー分野の構造の変革に向けて動き出していることを評価してほしい。

 ただし、42円の固定買取価格で設備認定を受けながら、建設に向けた土地の確保、工事の発注、発電設備を発注していない発電事業者が存在しているのならば、それは問題である。そこで、現在、認定ずみのすべての案件について、調査を進めている。

――この調査の結果、悪質な案件だと判断すれば、認可を取り消す可能性もあるのか。

村上氏 その可能性については、調査を開始する前からずっとある。具体策については、調査・集計中のため、申し上げられない。

――その結果は、いつごろ発表されるのか。

村上氏 時期は未定だが、できるだけ早く公表したい。

――聴収するだけでも、建設の準備を進めていない発電事業者にとっては、かなりのプレッシャーにはなるのでは。

村上氏 42円で認定した時期のコスト構造と、現在のコスト構造は異なる。そもそも、初年度の42円については、制度が始まる前の事業実績ベース、要するに、まったく競争のない時代のコスト構造から設定した買取価格であり、余裕があるのは当たり前である。42円の前提となるコスト構造ではない時期に、土地の確保や発電設備を発注すること自体、市場の競争に基づく発展に悪影響を与える。