佐賀県武雄市では、この7カ月間に、二つのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が発電を開始した。武雄市東川登町で10月に発電を開始した、出力約1.5MWの「武雄袴野太陽光発電所」(図1)と、武雄市若木町で3月に発電を開始した同約1MWの「武雄若木太陽光発電所」である。いずれも、九電工がEPC(設計・調達・建設)から発電事業者まで担って建設した発電所で、九電工 上席執行役員 佐賀支店長の山本泰弘氏は、「九電工の太陽光発電所の原点が武雄市の二つの発電所であり、今後の太陽光発電の可能性を考える上で、重要な拠点となる」と強調する。

図1●武雄市東川登町で10月に発電を開始した出力約1.5MWの「武雄袴野太陽光発電所」の竣工式。中央が九電工 上席執行役員 佐賀支店長の山本泰弘氏
(出所:日経BP)
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 佐賀県武雄市は、図書館の運営を、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に委託し、スターバックスコーヒーや、CCCが運営する「TSUTAYA」の書店とCD/DVDのレンタル店を併設した、活気のある図書館として注目を集めるなど、行政の先進的な取り組みで知られている。再生可能エネルギーの導入でもこうした姿勢で取り組み、今回の二カ所のメガソーラーの建設でも、土地の斡旋にかかわったほか、環境教育に活用しやすい設計などを要望した。

 九電工も、地元の九州を中心に、メガソーラーのEPCを次々と受注し、国内のメガソーラーのEPCではトップクラスの受注企業と見られる。建設地の地主が希望した場合、EPCだけでなく、発電事業者まで務めるケースもある。その場合、自社ではなく、子会社の九電工新エネルギー(福岡県福岡市中央区)を発電事業者としてきたが、今回の二つのメガソーラーでは、武雄市との協力関係や九電工の佐賀支店の戦略的な理由によって、九電工自身が発電事業者を務める。このあたりの柔軟な姿勢も、九電工のメガソーラーへの取り組みが高く評価される理由なのだろう。