ユーザーの行動を観察することでユーザーの価値観を把握する手法「行動観察」が、人を中心に据えた設計活動の手段として多くのメーカーから注目を集めています。あらゆる物が世の中にあふれている今、新商品を開発するには「ユーザーの価値観」をしっかりと把握し、ユーザーの潜在ニーズを掘り起こす必要が出てきています。そんな中、行動観察を用いて開発した商品がヒットを飛ばす事例も増えてきました。本稿では、行動観察を開発現場で活用する富士ゼロックスの担当者が、同社の取り組みとその背景にある考え方を解説します。

蓮池公威(はすいけ・きみたけ)
富士ゼロックス 商品開発本部
1994年、京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科造形工学専攻を修了。富士ゼロックスでは、商品開発本部ヒューマンインターフェイスデザイン開発部でユーザー・インターフェイスのデザイン、ワークプレイス研究、Human-Centered Design手法の研究と実践などに取り組む。2008年からは社内技術講座で観察とインタビューの講師も担当。人間中心設計機構の評議員、武蔵野美術大学基礎デザイン学科の非常勤講師。