1ストリング当たり1万円を切る監視システムも

 ストリング監視システムも導入例が目立ってきた。これは、接続箱にセンサーを取り付ける。かつては手作りに近く、導入コストが高かったが、ここ数年、ストリング監視用のセンサーデバイスを複数メーカーが量産するようになり、安価になってきた。1ストリング1万円を下回る装置もあり、欧州ではストリング監視装置の設置が常識になっている。日本でも今年に入って、ストリング監視を導入するメガソーラーが目に見えて増えた。

太い緑線が、日射センサー値から推定される期待発電量。黄色の部分が、全体の発電量を示す実測値。横軸が時間でこの日は7時から16時過ぎまで発電したことがわかる。ほぼ正常に見える
(出所:ネクストエナジー・アンド・リソース)
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 一方、パネルごとの監視は、1枚1枚にセンサーを取り付けることで技術的に可能となり、システム開発したメーカーもあるが、導入コストが高くほとんど普及していない。ストリング監視で、出力が少なめのストリングを見つけ、そのなかで、どのパネルに異常があるか調べるという手順で十分というのが、現状のモニタリングシステムに対する一般的な考えだと思う。

――PCSの発電量とストリングの状態をモニタリングすれば、主要な装置を監視しているわけで、気象センサーで全体の発電量の実績値を評価する必要はないのでは?

 PCSや太陽光パネルを個別にモニタリングしていても、太陽光発電システムはそれ以外のさまざま装置が接続されており、監視しきれない隙間がかならずある。気象センサーを使えば、どこかに異常があれば、本来の発電量と実績の乖離という形で発電システムの異変に気が付く。

 当社がO&Mを担当しているメガソーラーでも、気象センサーによる推定発電量と実績値との差がひらくことが頻繁にあったことから、原因を調査し、最終的にPCSの異常を発見できた例があった。この例では、12時過ぎになると晴れているのに推定発電量よりも実績値がかなり下回ることが頻繁に起き、調べてみるとPCSが電力系統の電圧上昇を検知して出力抑制していることが分かった。