再生可能エネルギーの固定価格買取制度(Feed-in Tariff:FIT)が、メガソーラー(大規模太陽光発電所)という新たな市場を生み出している。とはいえ、最初に決まった価格で20年間、売ることができるという仕組みは、自由競争の中ではあり得ず、法に基づいた枠組みがあってこその市場といえる。FITを活用したビジネスのベースには、法による基盤があり、それを形作る基本的なルールを知ることは最低のビジネススキルと言える。このコラムでは、FITに詳しい法律の専門家が、法規制の視点から、メガソーラービジネスの仕組みやポイント、注意点などを解説する。

三上 二郎(みかみ じろう)
長島・大野・常松法律事務所・パートナー
1995年東京大学法学部卒業、1997年弁護士登録。2002年New York University School of Law(LL.M.)卒業。主な取扱い分野は、プロジェクトファイナンス、不動産を中心とする流動化・証券化、J-REIT、買収ファイナンス、その他のストラクチャードファイナンスなど。1998年に行われた日本初の国内発電事業プロジェクト向けプロジェクトファイナンスを始め、国内発電事業プロジェクトファイナンスを多数担当。最近の著作(共著)として、「再生可能エネルギープロジェクトに対するファイナンスにおける担保権の取得方法」(銀行法務21 753号)。
本田 圭(ほんだ きよし)
長島・大野・常松法律事務所・アソシエイト
1999年慶應義塾大学法学部法律学科卒業、2001年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主な取扱い分野は、エネルギー関連法、環境法(特に土壌汚染、排出権取引等)、不動産証券化。主な著作として、「不動産証券化における土壌汚染対策法上の責任」(ビジネス法務 2013年11月号)、「再生エネルギー法に基づく特定契約・接続契約の特徴」(銀行法務21 2013年1月号)、「不動産流動化・証券化取引と排出量取引―東京都環境確保条例に基づく排出量取引制度との関係を中心に―」(不動産証券化ジャーナル、Vol.24(2010 March-April))、「企業活動に影響を与えるヨーロッパにおける環境法の実態」(月刊ザ・ローヤーズ、2009年3月号)など。
勝山 輝一(かつやま てるかず)
長島・大野・常松法律事務所・弁護士
2000年慶應義塾大学商学部卒業、2002年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2008年Northwestern University School of Law (LL.M.)、および、Northwestern University Kellogg School of Management(Certificate in Business Administration)卒業。2009年9月から2年間、日本政策投資銀行に出向し、数多くのプロジェクトファイナンス案件に関与。主な取扱い分野は、再生可能エネルギー発電を含むプロジェクトファイナンス関連、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ:公共サービスへの民間資金・経営能力などの導入)・PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:官民連携による公的サービス)、道路や空港などのインフラ関連業務、証券化、船舶・航空機などのアセットファイナンス、買収ファイナンスなど。メガソーラー・プロジェクト関連の著作(共著)として、「再生可能エネルギープロジェクトに対するファイナンスにおける担保権の取得方法」(『銀行法務21』 753号)。