ドイツではストリング監視は常識

――ストリング監視は、国内のメガソーラーでどの程度、普及しているのか?

池田氏 1Mクラスのメガソーラーではストリング回路は400~500回路にもなる。そのすべてに計測デバイスを取り付けて監視するのはやはりコストがかかる。ただ、ドイツなどでは、ストリング監視を導入するのはもはや常識になっていて、国内でも徐々に導入するメガソーラーが出てきた。当初、ストリング監視システムは海外製がほとんどでコストも高かった面もある。ここにきて日本の検査機器メーカーも次々と商品化しており、複数のシステムから選べるようになってきた。こうした監視装置には通信機能が必須なだけに、本来、日本の通信規格を前提に設計した国内メーカーのシステムの方が利用しやすい。国内メーカー製のシステムが増えたことで、今後、導入が増えていくと思う。

――そもそも太陽光パネルにどの程度の不良品が含まれていると見ているか。

池田氏 当社がメガソーラーで見つけた約40枚の不良品は、約1万枚のうちの40枚で、統計的に見ても、問題視すべき割合だ。しかも国内大手メーカーのブランドだった。ただ、実際には海外メーカーの太陽光パネルメーカーから太陽電池モジュールを調達したOEM(相手先ブランドによる生産)だった。固定価格買取制度(FIT)によるメガソーラービジネスは、建設コストを極力抑えて投資効率を高めるが基本なので、どうしてもコストの安い海外品を採用し、監視システムも簡略化したいとの意識になる。

 海外製パネルを否定するわけではないが、日本の気候・環境下に設置して20年間、品質を保てるのか、未知数な面もある。国内メーカーのなかには、屋根設置が中心の時代に不良品を出した企業もあるが、誠実に交換してきた。こうした苦い経験もあり、ここ10年で国内メーカーの製品は非常に品質が安定し、信頼性が高まっている。海外メーカーには20年保証をうたっている企業もあるが、20年後にその企業が存続している保証はない。

 とはいえ、メガソーラーの建設市場では、OEMを含めれば、海外製の太陽光パネルが過半をしめているのも事実だ。FITによる強力な促進策の後、海外製の不良パネルを相当数、含んだ不良メガソーラーサイトが増える一方、その頃は、メーカーや設計・施工会社も存在しないという事態も起こり得る。そうなれば発電事業者は泣き寝入りになる。そのためにも、ストリング監視などによるきめ細かな運用・保守体制を築き、問題を早期に発見して、早期に対処することの重要性が高まっている。

太陽光発電システムの品質検査に関する研修風景(出所:横浜環境デザイン)
太陽光発電システムの品質検査に関する研修風景
(出所:横浜環境デザイン)
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