SBエナジー 副社長 藤井 宏明氏(撮影:清水 盟貴)
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 第4回までは、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の事業モデルや、関連するプレーヤーの役割、事業リスクとその解消策などを紹介してきた。第5回となる前回からは、日本国内で実際にメガソーラービジネスを推進している企業のキーマンへのインタビューを紹介している。最終回となる今回は、SBエナジー 副社長 藤井 宏明氏に、現状や今後の展望などを聞いた。

発電に適した場所でも売電できない

――日本において、最も積極的にメガソーラーを展開している1社であり、その間、実際に建設や運営していく中で起きた、予想し得ないこと、印象的なことなどを伺いたい。

藤井氏 2011年3月に発生した東日本大震災の影響から、日本のエネルギーを見つめ直し、再構築していきたいという思いから、SBエナジーは、再生可能エネルギーに取り組んできた。ソフトバンクグループは元々、通信事業を中心とすることから、携帯電話の基地局などで電気工事自体は手がけていたが、太陽光発電、特に、メガクラスについては、初めての取り組みであり、確かに、さまざまな予想し得ないことが起き、経験を蓄積している。

 まず、通信の場合には、電力を購入して、無線通信に使う電波に変えているのに対して、太陽光発電の場合は、発電して送電線に送り込むという、逆の流れになる。そこでは、電力会社の送電線、電力系統と確実に接続できなければならない。発電に適した土地であっても、その近辺の電力系統が最適に整備されていない限り、実現できないことを思い知らされている。

 次に、太陽光発電に適した土地についての認識である。一般的には、その地域ごとに日射に優れるなど、観光情報のようなイメージは、ある程度、認識されている。そこまで発電量が大きく変わらないのでは、というイメージがあるかもしれないが、実際に国内のさまざまな土地の日射量の差、発電量の差が、こんなにも大きいのかということを、実際に発電してみることで学んでいる。

 さらに、建設する土地の地面の状況についての認識だ。基本的には、平坦さや硬さといったものだが、通信事業における基地局の建設とは異なる要素も多い。