もはや遠隔監視は、必須の機能

――なぜ、そんな頻繁に停止するのか?

池田氏 電力会社の電力線に系統連系している太陽光発電システムが、時々止まること自体は、ある程度、仕方がない。実は、住宅屋根に設置した太陽光発電システムのPCSも、系統連系している電力網の状態を常に監視しながら、出力を抑止したり、停電や瞬停時には出力を停止したりするなど、かなり複雑な制御している。

 「停止」を防げない以上、太陽光発電の売電事業で求められるのは、止まったPCSをいかに早く復帰させるかになる。その点、家庭用のPCSでは停止後の「自動復帰」が認められている。系統側の異常でPSCが停止しても、150秒など一定時間後に自律的に復帰する仕組みが内蔵されているので、オーナーは「停止」をほとんど意識せずに売電できている。

 一方、産業用の太陽光発電システムでは、こうした「自動復帰」が認められていない。何らかの理由で止まった場合、電気主任技術者の資格を持った人が現場に行って、手動で運転開始ボタンを押して、再稼働させる必要がある。50kW以上の太陽光発電システムには2時間以内で駆けつけられる場所に住む電気主任技術者の配置を法律で義務付けられているのは、こうした背景もある。「50kW以上は、りっぱな“発電所”なのだから、停止した場合、電気関係の資格を持った人が安全を確かめてから手動で再稼働させる」というのが法の趣旨だ。

 従って、メガソーラーが何らかの理由で「停止」した場合、それに気づかないでいるとずっと止まったままになり、晴れていてもまったく売電できないことになる。仮に1か月間、停止したままで放置し、売電できないと、1MWのメガソーラーであれば、500万円程度の損失になる。こうしてみると、遠隔監視によるモニタリングはメガソーラービジネスにとってはもはや必須の機能と言える。

千葉の発電所
千葉の発電所
横浜環境デザインが建設・運営する千葉県の太陽光発電システム
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