前回は、実際にメガソーラー(大規模太陽光発電所)に建設する際の「作り方、動かし方」について解説した。第3回となる今回は、メガソーラービジネスにおけるリスクや、その対策について紹介する。

 メガソーラービジネスでは、それぞれのプレーヤーに、それぞれのリスクが潜んでいる。こうしたリスクを、契約に盛り込む内容や、契約の手法の工夫などだけでは当事者間で解消できない恐れがある場合、金融や保険などリスク管理の専門家の力を借りながら、メガソーラー事業を円滑に営んでいくことになる。

 基本となるのは、「事業に内在するリスクを認識し、細分化した上で、経済合理性や蓋然性を踏まえながら、どのプレーヤーがそれぞれのリスクを負担すると、メガソーラー建設プロジェクトが最も効率的に成立するか、最適化していくこと」(みずほ銀行)となる。例えば、土地の確保のリスクは地権者が、太陽光発電に関する技術的なリスクや関連機器・部材に関するリスクは太陽光パネル・メーカーなど、それぞれの機器・部材メーカーが、建設に関するリスクはEPC(設計・調達・建設)サービス企業が、運用や保守に関するリスクはO&M(運用・保守)企業が、といった具合である。このほか、建設までの資金的なリスクに関しては出資者や金融機関が、災害などの不可抗力に関するリスクは保険会社が担う。

発電量や建設が抱えるリスク

 メガソーラービジネスで想定される主なリスクを、いくつか紹介する。発電事業における代表的なリスクが、発電量に関するリスクである。想定よりも日照時間や日射量が少ない、砂塵や雪害、塩害に見舞われる、想定以上に太陽光パネルの表面温度が上昇することで、計画していた発電量に達しないといったことが考えられる。

 こうした発電量に関するリスクは、メガソーラー事業者の運転資金の不足にまで及ぶ可能性がある。メガソーラー事業者のキャッシュフロー(利益に減価償却費を加えた手元資金)の変動は、ほぼ発電量に依存するからである。

 また、太陽光発電に必要な機器や部材に関するリスクとして、太陽光パネルやパワーコンディショナー(PCS)などが想定以上に経年劣化してしまい、当初見込んでいた発電量に達しなくなってしまう場合もある。

 建設に関するリスクもある。想定していなかった造成や基礎工事の追加などによって、建設が遅れてしまう、そもそも、建設を続けることが難しく、中断に追い込まれてしまう、建設を終えることはできたものの、想定よりも建設コストが嵩んでしまう、といったリスクがある。

 こうした建設に関わるリスクに伴い、資金に関するリスクも生じる。建設費が想定よりも嵩んだために、資金不足に陥ったり、そもそも、建設にかかる予算を甘く見積もったために、資金が不足するといった事態である。

メガソーラー事業で想定されるリスク(みずほ銀行の資料を基に日経BPが作成)
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