レジャーや医療、航空機、鉄道、自動車、宇宙など幅広く
KUMADAI耐熱マグネシウムは、どのような用途に使えるのであろうか。KUMADAI耐熱マグネシウム合金は、少量であるが実用化されているものがある。それが下肢装具だ。従来品に比べて約30%の軽量化に成功し、2010年度熊本県工業大賞を受賞した。おおよそ年間10台ペースで出ている。用途はさらに広いとみる。不二ライトメタルは今、用途を模索しながら開発を進めており、様々なところから問い合わせがあるという。レジャーや医療、航空機、鉄道、自動車、宇宙など、汎用マグネシウムではリーチしきれなかった分野も加わり、「潜在顧客層は幅広い」(同社)。例えば、航空機ではリブのところなど、軽量かつ強度が求められるところにKUMADAI耐熱マグネシウム合金が向くとする。自動車用部品では、ピストンやターボなどに使えるとみる。
ネジへの利用も有望とする。橋梁などでは大量のネジを使っており、それらをKUMADAI耐熱マグネシウム合金に変えることで軽量化を図れるとみる。また、マグネシウム合金のフレームとマグネシウム合金のフレームを継ぐネジに用いると、同質の材料なのでネジが緩みにくくなるとする。実際に、KUMADAI耐熱マグネシウムをネジに使う話は実現に向けて動いている。2012年に熊本県の補助を受ける形で、国内のネジ・メーカーと商談を始め、2014年春ごろの実用化を予定する。
線材としての利用も可能だ。太さ数十μmの線材を開発中であり、KUMADAI耐熱マグネシウムを繊維として使う用途も模索する。例えば、防弾チョッキへの利用が考えられるという。今の防弾チョッキは重さ14kgあるが、それを1/4程度に大幅に軽量化できるとする。炭素繊維を使えば軽量化できるものの、弾丸の貫通は防げても、刃物による殺傷を防ぎきれないようだ。それに対して、KUMADAI耐熱マグネシウム合金を使えば、「弾丸にも刃物にも強い」(不二ライトメタル)。
KUMADAI耐熱マグネシウム合金は、加工しにくいことが課題。材料の配合を考えながら課題解決と用途拡大に取り組んでいるという。