「アースプレート」を独自開発

 庄原発電所の立地する庄原市は、中国山地の山間にあり、冬は氷点下の冷え込みが珍しくなく、寒暖の差が大きい。積雪も多く、過去には1m以上積もったこともある。地域還元への期待を背負っていることに加え、こうした気候条件も加味し、平野部にある民間主体の一般的なメガソーラーに比べ、長期的な稼働安定性に対してより配慮している。

 太陽光パネルは、三菱電機製の単結晶シリコン系太陽電池で、耐候性を高めているのが特徴だ。三菱電機は、出荷時に全数チェックしてパネルごとに出力数を記載し、定格出力を下回ったパネルを排除した。パネルは、雪が滑り落ちるように20度に傾斜して架台に設置した。パネルの下側と地面の間は85cm空けており、滑り落ちた雪が山になってもパネルを隠さないよう配慮した。架台と架台の間は2m程度空けて、パネルの影がかからないようにするとともに、車が通れるようにして作業効率を高めた。

 また、パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。最高効率は97.7%に達する。PCSの効率は、曇りなど日射量が少ない時間帯には下がる機種もあるが、TMEIC製のPCSは、日射量の少ない時間帯にも高効率を維持し続けるのが特徴という。

パワーコンディショナーは東芝三菱電機産業システム製の490kW機を4台設置した(出所:日経BP)
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 一方で、コスト削減の工夫も随所に見られる。太陽光パネル16枚を1アレイ(1つの配線のグループ)とし、これを架台に載せ、わずか4本の支柱で支える構造にした。支柱は、スクリュー杭を地中2mの深さまでねじ込んで、強度を確保した。また、通常、パネルとパネルをアース線で結んで、電気を逃がすが、庄原太陽光発電所では、架台とパネルの接合部に「アースプレート」と呼ぶ金具を独自に開発し、これを挟むことで架台への通電を確保し、改めてアース線を接合する手間とコストを下げることに成功した。

「アースプレート」(写真の○印)を架台とパネルの間に挟むことで通電を確保し、アース配線の手間を軽減した(出所:日経BP)
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庄原太陽光発電所の概要
施設名 庄原太陽光発電所
住所 広島県庄原市新庄町字国近奥25-3(庄原地区2期保留地内)
事業者 ひろしま再生可能エネルギー推進有限責任組合
土地所有者 広島県
売電開始日 2013年10月10日
発電容量 1960kW(1.96MW)
施工会社(EPC) エネルギア・ソリューション・アンド・サービス(ESS)
太陽光パネル 三菱電機製
パワーコンディショナー(PCS) 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
架台の施工 三菱電機システムサービス