土地起因の問題とコスト

 土地の提供に関連するプレーヤーが、地主や地方自治体などである。地主はメガソーラー事業者に土地を賃貸、または売却する。地方自治体は、土地の斡旋や、メガソーラー事業に必要な許認可に関わる。

 メガソーラー事業者にとっては、できるだけメガソーラーを建設しやすく、かつ、電力網に系統連系しやすい土地を、できるだけ低コストで確保することが理想である。

 例えば、工業地帯の遊休地に建設する場合と、山林や田畑の耕作放棄地に建設する場合では、同じ空いている土地でも大きな違いがある。森林法や農地法、環境影響評価法、土壌汚染対策法などの対象となっている土地にメガソーラーを建設するには、それぞれの法に沿いながら建設することになる。まして、山林の伐採や開墾が必要な場合には、環境アセスメントや都道府県など地方自治体の認可が要る。農地や山林ほどではないまでも、工業地帯の場合でも、クリアすべき土地起因の問題を解決しなければならない。

 また、コスト面では、森林を伐採すれば伐採費や木を処理する費用がかかる。電力網への系統連系にかかる費用も無視できない。メガソーラーが系統連系することが多いのは、6万6000Vの高電圧が流れる送電網であり、ここに接続するための距離が長くなれば、鉄塔1塔当たり約5000万円、送電線の敷設1km当たり約1億円、高圧変圧器1台当たり10億円などとされる費用が重くのしかかってくる。これらの課題を解消できている場合でも、さらに、地質や植生によって、太陽光パネルを設置するための地盤の工事に制約が生じてコストが増えることがある。

建設時のリスクを減らす試み

図2●メガソーラーに詳しい金融機関、コンサルタントなどが介在し、利害の相違を埋めて建設プロジェクトの組成を支える(日経BP クリーンテック研究所が作成)
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 こうしたさまざまな条件の土地で、地主や地方自治体とメガソーラー事業者などのステークホルダーの利害をまとめていくのは容易ではない。コンサルタントや金融機関、投資関連企業などによる仲介やビジネス・マッチングによって、事業化が実現した例もある。金融機関、出資者、リース会社、コンサルタント、弁護士などの、メガソーラーの技術や固定価格買取制度(FIT)に詳しい専門家は、単なる助言や資金調達などにとどまらず、揺籃期ならではの未整備な分野に生まれがちな隙間を埋めて、新規のメガソーラー建設プロジェクトの組成を支える役割がある(図2)。

 プロジェクトファイナンスやリース方式を活用すれば、メガソーラー事業者は発電所の完成まで自己資金を負担せずにすむ。また、海外では、メガソーラー事業に詳しい専門家がプロジェクトを組成し、発電事業に参入したい人や企業に、建設ずみの発電所を売却する例もある。日本でも、外資系企業などが、こうしたメガソーラー建設支援ビジネスを展開し始めている。