廃棄物処理地の浄化を妨げず、効率的に発電

 浮島太陽光発電所の特徴は、一般廃棄物処理場の浄化を阻害しないための工夫や、海沿いの立地ならではの強風や塩害への対策にある。

 建設は東芝、太陽光パネルはシャープ製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製となっている。太陽光パネルは最大出力198Wの単結晶シリコン型が3万7926枚、PCSは定格出力250kW機が28台設置されている。

 土地の浄化は、廃棄物の上に盛り土を築き、そこに雨を浸み込ませ、浸み込んだ水をポンプで吸い上げて浄化後、東京湾に流すサイクルを20年間続けることで完了する。このため、太陽光パネルの設置では、地盤沈下への対策が重要になる。

 地盤沈下への対策として、ここでは、1台の架台に設置する太陽光パネルを6枚と少なくし、地盤沈下が起きた場合でも、その影響を受ける太陽光パネルの数を限定できる仕組みにした。

 基礎や太陽光パネルの設置では、土地の浄化を促すため、雨水が浸み込みやすいように工夫した。架台を設置する基礎は、平面状に固めたコンクリートの中央部を空洞にした形状となっている(図2)。太陽光パネルの上に降った雨を、できるだけ多く地面に浸み込ませるために、こうした形状を採用した。太陽光パネルについても、雨が地面に到達しやすいように、水平方向の隙間を確保して設置した。

図2●地盤沈下や強風、塩害による影響を考慮した地盤や架台、太陽光パネルの設置に(提供:川崎市)
[画像のクリックで拡大表示]

 また、浄化作業に必要な作業車の通行用のスペースが確保されており、一面に敷き詰められた太陽光パネルの中に、飛行場の滑走路のような、細長いスペースが伸びているような光景となっている。

 強風や塩害といった、海沿いの土地ならではの工夫は、基礎や架台の設計、太陽光パネルの角度、PCSの設置などに見ることができる。例えば、強風への対策として、基礎については、風に当たりやすい海沿いの設備を支えるコンクリートの厚みを約45cm厚、それよりも内側の設備を支えるものは、厚みをその約1/2とし、強風の影響を考慮した設計としている。

 また、太陽光パネルの設置角度を、発電に理想とされる30度では、強風の風圧などへの対策が十分に確保できないことから、10度に設定している。

 塩害への対策では、PCSを収納する筐体を、通常より強固なコンテナ状のものとしている(図3)。1台のコンテナの中に、4台のPCSを収めており、このコンテナを全体で7台配置した。

図3●通常より強固なコンテナ状の筐体にPCSを4台ずつ収納(撮影:日経BPクリーンテック研究所)
[画像のクリックで拡大表示]