顧客に納めた機器の状況を定期的にチェックし、メンテナンスを効率化する――。最近、製造業の企業が、こうした「サービス化」に取り組む例が目立ってきた。医療業界での例に、神戸を本拠としてグローバルに事業を展開しているシスメックスのサービスがある。

 顧客に納めた機器の状況を定期的にチェックし、メンテナンスを効率化する――。最近、製造業の企業が、こうした「サービス化」に取り組む例が目立ってきた。医療業界での例に、神戸を本拠としてグローバルに事業を展開しているシスメックスのサービスがある。シスメックスは血球計数器を中心に事業を拡大してきた。この事業の一環として、販売した医療機器の精度管理サービスを提供している。売上高の4分の3が海外の医療機関によるため、サービスもグローバル展開だ。

 医療機器をはじめとする測定機器は、その精度を維持することが前提となる。このため、装置を利用する前、あるいは定期的に、精度の確認テストをし、結果がずれていないかを確かめる。通常は、医師会などが医療機器の精度測定を促すことが多いが、これは年に1回程度の頻度でしかない。その間に精度がくるってしまうと、長期間にわたって正常な検査結果を得られないことになる。極端な場合は誤診にもつながりかねない。

 こうしたことからシスメックスが実施しているのが、日常的な精度チェックを可能にするサービスである(図1)。対象とする医療機器は100種類以上、台数にするとグローバルで2万台以上。このうち約8割は同社が製造する機器である。

タイトル
図1●医療機器の精度チェックをサービスとして提供している
写真の機器は血球計測器。

 一見する限りでは、あくまでもメーカーであるシスメックスの顧客向けサービスである。ただ、医療機関での検査精度向上を支える仕組みづくりと捉えると、社会的な課題を解決する取り組みでもある。このサービスを支える、医療機器に内蔵されるデバイスや無線通信は「ソーシャルデバイス」だといえよう。