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デジタル・サイネージ「トイレッツ」の開発

最終回:救世主は1000人分の“おしっこ”(下)

  • 根津 禎=日経エレクトロニクス
  • 2013/09/19 00:00
  • 1/2ページ

「おい、おれのおしっこに反応しなかったぞ」
 2011年5月末のある夜に掛かってきた電話に、開発メンバーが凍りついた。セガの同僚が、トイレッツの実証試験を行っているダーツ・バーに行ったところ、尿が検知されなかったというのだ。

「まさかそんなことはないはず…」
 開発メンバーは、にわかにはこのことが信じられなかった。設置した店の環境に問題があるのでは。そう疑いつつ、調査に乗り出すと確かに検知しない場合があった。

 不具合の原因は、トイレッツ側にあった。開発メンバーは、どんな状況でも尿を検知できると自負していたが、それはあくまでテストした範囲内の結果。実際の店舗に設置すると、開発メンバーが予期しない状態や方法で放尿する人も当然出てくるのだ。

 開発時は、ペットボトル内の液体を小便器に放出してセンサの調整を進めた。人間が1日にできる放尿の回数には、限界があるからだ。だが、このやり方に問題があった。ペットボトルから便器に液体を出す方法は、実際の放尿の状況と異なる場合があった。

 開発メンバーはセンサ部の再調整に取り掛かった。検知しない原因を探るため、人がどのように放尿しているのか、その状況を探ることにした。

 最初はトイレに向かった人の後を追いかけ、その状況を観察していた。だが、他人の“行為”を頻繁に眺めるわけにもいかない。そこで、人の有無を検知する赤外線センサの出力と、尿の勢いを検知するマイクロ波センサの出力を記録する「データ・ロガー」をトイレッツに取り付け、それをセガ社内のトイレに設置した。

 この役割を担ったのが、柏原崇生だった。2011年夏以降、柏原は来る日も来る日もデータを眺める毎日を送った。それは、「肉体的にも、精神的にもすごくきつかった」という。

 データ解析から浮かび上がってきたのは、人それぞれ用の足し方がまったく異なるという事実である。小便器の前に勢いよく移動してから放尿する人、手で“あそこ”をしっかりと持つ人、尿の勢いがある人ない人、終わった後に激しく振る人など、多種多様であった。

 集めたデータは実に1000件以上。それらを解析し、検知プログラムのアルゴリズムを改善し続けた。その結果、トイレッツの検知精度は飛躍的に向上し、利用者の98%の放尿行為を検知できるようになったという。


トイレッツの試作機にデータ・ロガーを接続し、人の有無や尿の勢いなどの状況を観測した。下は測定データの例。(図:セガの資料を基に日経エレクトロニクスが作成)

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